交響曲第2番 (オネゲル)

交響曲第2番について

アルテュール・オネゲル作曲の交響曲第2番は、彼の5曲の交響曲の中でも特に重要な作品の一つです。この曲は、第二次世界大戦という激動の時代に作曲されたため、その背景が色濃く反映された、陰鬱で重厚な雰囲気をまとっています。

作曲の経緯

1936年、旧バーゼル室内管弦楽団の創立10周年を記念して、設立者であるパウル・ザッハーの委嘱により作曲が開始されました。しかし、作曲は難航し、完成が大幅に遅れるうちに第二次世界大戦が勃発。1940年にはパリがドイツ軍に占領されるという状況下で、作曲は続けられました。そして、1941年、ようやく完成を迎え、ザッハーに献呈されました。この経緯からも、当時の社会情勢が作品に与えた影響の大きさがうかがえます。

初演

1942年5月18日、チューリッヒ・コレギウム・ムジクムにおいて、パウル・ザッハー自身の指揮、バーゼル室内管弦楽団によって初演されました。この初演は、戦争という困難な時代の中での音楽活動の灯火として、大きな意義を持つものでした。

楽器編成

この交響曲は、弦5部を主体とした編成で、以下の楽器が用いられています。

弦5部
トランペット1（第3楽章のみ。任意パートでありながら、ほとんどの演奏で用いられる。作曲者は、オルガンのストップを操作するように演奏することを指示している。）

トランペットは、特に第3楽章で重要な役割を果たし、曲のクライマックスを彩ります。

演奏時間

演奏時間はおよそ24分で、各楽章の演奏時間は以下の通りです。

第1楽章：約10分
第2楽章：約9分
第3楽章：約5分

楽曲構成

この交響曲は、3つの楽章から構成されています。各楽章には、それぞれ異なるテーマと感情が込められています。

第1楽章

モルト・モデラート (Molto moderato) 4/4拍子 – アレグロ (Allegro) 2/2拍子。

戦時下の苦難を象徴する、悲痛で暗鬱とした音楽が展開されます。冒頭から重苦しい雰囲気が漂い、聴く者の心を深く揺さぶります。

第2楽章

アダージョ・メスト (Adagio mesto) 3/2拍子。

休戦のひとときを思わせる、ゆっくりとした絶望的な音楽が奏でられます。静かで内省的な旋律が、深く沈んだ感情を表現しています。

第3楽章

ヴィヴァーチェ・ノン・トロッポ (Vivace non troppo) 6/8拍子。

再び戦いが始まり、緊張感が高まる音楽が展開されます。しかし、最後にはトランペットによるコラールが加わり、曲全体が幾許かの救いの光に導かれます。このコラールは、絶望の中にも希望の光を見出す、この作品の重要なテーマを象徴しています。

参考文献

最新名曲解説全集3 交響曲III（音楽之友社）
サラベール社のスコア

外部リンク

交響曲第2番の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

この交響曲第2番は、オネゲルの作品の中でも特に深く、重いテーマを扱った作品です。戦争という時代背景が、音楽に深い影を落としていますが、その中にも希望の光が見え隠れする、聴きごたえのある作品と言えるでしょう。

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