交響曲第2番 (マデトヤ)

レーヴィ・マデトヤ 交響曲第2番 変ホ長調 作品35

フィンランドの作曲家、レーヴィ・マデトヤの《交響曲第2番 変ホ長調 作品35》は、1916年から1918年にかけて作曲された彼の主要作品の一つです。前作の成功に続きますが、激動の時代と作曲家自身の深い悲しみが背景にあります。

作曲の時代背景と個人的な悲劇

作曲中の1918年は、フィンランド内戦が勃発するなど激動期でした。マデトヤは、こうした時代の出来事やフィンランドの運命について深く思索し、その思いを作品に託そうとしました。

しかし、彼を二重の悲劇が襲います。まず、唯一の存命する兄弟であったユリョが赤衛軍によって処刑されます。続いて親しい友人、作曲家トイヴォ・クーラが銃弾に倒れます。

これらの喪失はマデトヤに大きな衝撃を与え、深い悲嘆に暮れます。その感情はこの交響曲に昇華されたと考えられており、特に終楽章のエピローグには痛みと諦観が表れています。マデトヤ自身、「私は自分の戦いで争ったが、今は身を引く」と語っています。

また、この悲劇と同時期に、兄ユリョ追悼のピアノ曲を作曲し、後に組曲《死の庭 作品41》として拡大しました。この組曲には、交響曲第2番と共通する旋律要素が見られます。

初演と評価

交響曲第2番は、1918年12月17日にカヤヌスの指揮で初演され、異例の大きな成功を収めました。評論家たちは絶賛し、マデトヤのフィンランド音楽における先駆者としての地位を確固たるものにします。『ウーシ・スオミ』紙は「シベリウス以来の最も顕著な業績」と称賛しています。

ジャン・シベリウスも初演に立ち会い、深く感銘を受けたと伝えられています。この交響曲はマデトヤの最も広く知られ、演奏される作品であり続けています。後に、1934年にマデトヤの母が他界した際、遡って母に献呈されました。

後年の評価でも高く、評論家トム・グレルは「最高の交響曲」と評しました。ただし、第1楽章を称賛する一方、第3楽章については「単調」との見解も示しています。

楽曲構成

全4楽章で構成され、前半・後半の各2楽章はアタッカで連結。演奏時間は約39分半です。音楽学者のエルッキ・サルメンハーラは、各楽章が「美、自然、戦争、忍従」を表していると分析しています。

第1楽章：Allegro moderato
マデトヤの「美の哲学」が表現されたとされる楽章です。
第2楽章：Andante
田園風モチーフとモットー主題が登場します。
第3楽章：Allegro non troppo
スケルツォとフィナーレを兼ね、行進曲リズムが登場します。
第4楽章：Epilogue: Andantino
全曲のエピローグ。諦観が表現されています。

この交響曲は、マデトヤが直面した困難と悲しみを乗り越え、作曲家としての成熟を示した重要な作品であり、フィンランド音楽史における傑作として位置づけられています。

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