交響曲第4番 (カバレフスキー)

交響曲第4番ハ短調 作品54

この作品は、ロシアの作曲家ドミトリー・カバレフスキーが1955年から1956年にかけて作曲した交響曲です。彼の後期における主要作品の一つであり、力強い表現と豊かな情感が特徴的です。演奏時間は約41分を要する大規模な作品として知られています。

作曲は1955年に始まり、翌1956年7月に完成を迎えました。この交響曲の歴史的な瞬間である世界初演は、完成から間もない1956年10月17日、レニングラード（現サンクトペテルブルク）において、作曲者自身がレニングラード・フィルハーモニー交響楽団を指揮して行われました。さらに翌年の1957年には海を渡り、著名な指揮者ディミトリ・ミトロプーロスがニューヨーク・フィルハーモニックを指揮し、ニューヨークのカーネギー・ホールで待望のアメリカ初演が実現するなど、発表当初から国内外で注目を集めた作品です。

楽曲は伝統的な4つの楽章から構成されています。

第1楽章は短い導入部に始まり、すぐに特徴的なロシア風の旋律が提示される主要部分に入ります。この主題は、主に木管楽器を中心としたオーケストレーションによって多様な表情を見せながら、ダイナミックに展開されていきます。

第2楽章は、独奏ファゴットによって奏でられるロシア民謡を思わせる哀愁漂う主題が中心となります。この主題は様々な形で変奏されながら展開し、全体として葬送行進曲のような厳粛かつ内省的な雰囲気を持ち、聴く者に深い感動を与えます。

第3楽章は、軽快さの中に幻想的な性格を併せ持ったスケルツォ楽章です。予測不可能な展開や色彩豊かなオーケストレーションが特徴的で、前の楽章や次の楽章とは対照的な、遊び心と機知に富んだ楽想が繰り広げられます。

最終楽章である第4楽章「フィナーレ」は、短いながらも印象的な序奏を経て開始されます。ここには二つの対照的な主要主題が登場し、楽曲を力強く推進していきます。楽章の後半では、勢いのある行進曲風の主題がフガート（複数の声部が同じ旋律を追いかける手法）の手法で巧みに展開されることで、楽曲に構築的な深みが加わります。さらに、第1楽章で提示された主要主題が再び姿を現し、作品全体の統一感を高めます。最終的に、全曲は冒頭の調性であるハ短調から劇的にハ長調へと転じ、輝かしく力強いクライマックスを迎えて締めくくられ、聴き手に希望に満ちた印象を残します。

この交響曲は、カバレフスキーの作曲家としての円熟期における主要作品の一つであり、ソビエト時代の交響曲における重要な位置を占めています。彼の個性が光る、力強い筆致と豊かな情感が融合した聴き応えのある作品です。

構成

第1楽章: Lento - Allegro molto e con fuoco - Doppio meno mosso - Con fuopco（Poco Più moso del Tempo I）
第2楽章: largo（ma rubato）
第3楽章: Allegreto capriccioso e con moto - Più moso - Presto assai
第4楽章: Finale：Sostenuto assai - Allegro molto ed energico - Presto

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