交響曲第6番 (グラズノフ)

アレクサンドル・グラズノフの交響曲第6番ハ短調作品58

アレクサンドル・グラズノフが1896年に作曲した交響曲第6番ハ短調（ロシア語: Симфония No.6）作品58は、彼の8つの交響曲の中で特に重要な位置を占めています。この作品は、グラズノフの創作が最も充実していた中期を代表する三部作の一部であり、第4番と第5番とともにしばしば演奏されています。演奏時間はおおよそ36分です。

構成の特徴

交響曲第6番は、その構成が非常に特徴的であり、特に第2楽章が変奏曲、第3楽章が間奏曲という異例の編成が魅力的です。楽譜はベリャーエフ社から出版され、作曲家でピアニストのシギズムンド・ブルーメンフェルトに献呈されました。

初演と編成

この交響曲の初演は、1897年の2月8日にサンクトペテルブルクの貴族会館で行われました。演奏される際の編成は、非常に豊かな楽器配置が特徴で、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペットなどが含まれています。特にフルートは3本使用され、そのうちの1本はピッコロ持ち替えです。

曲の詳細構成

第1楽章: Adagio - Allegro passionato

この楽章はアダージョの序奏を持っており、ソナタ形式で展開します。序奏部分は4分の3拍子で、悲しげな主題が低弦で表現されます。この主題は後に拍子が変わり、第1主題として再現され、抒情的な第2主題へと続きます。展開部では、チャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」を思わせるような劇的な瞬間が感じられます。

第2楽章: Tema con variazioni

この楽章は主題と7つの変奏から構成されています。主題は民謡風で、穏やかな美しさを持ち、以降の変奏もそれぞれ異なるキャラクターが描かれています。特に、第4変奏では「フガート」が扱われ、第5変奏ではロマンティックな情緒が漂います。最後の第7変奏は堂々とした印象を与え、全体のクライマックスへと導きます。

第3楽章: Intermezzo: Allegretto

三部形式のこの楽章では、可愛らしいクラリネットの主題とワルツ風の中間部が印象的です。穏やかな雰囲気を持ちながら、優雅に進行します。

第4楽章: Finale

この楽章は、ハ短調からハ長調への移行を伴い、序奏から始まります。重厚な弦楽器の主題に続いて、明るい金管による祝祭的なテーマが登場します。楽曲は様々な拍子に変化しながらも、祝典の雰囲気は一貫して保たれ、最後には聴衆を喜びの渦に引き込む終結を迎えます。

まとめ

アレクサンドル・グラズノフの交響曲第6番は、独自の構成と多彩な楽器編成により、聴く者を魅了する作品です。その豊かな旋律とドラマチックな展開は、時代を超えて愛される理由となっています。

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