交響曲K.16a

交響曲 イ短調 K. Anh. 220 (16a)

交響曲イ短調K. Anh. 220（またの名を「オーデンセ」）は、かつてヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの作曲と考えられていた曲です。この交響曲は、モーツァルトの作品中で短調に分類されるものがわずかに3曲しか存在しない中の一曲であり、その音楽的価値と歴史的背景に関する考察が重要視されています。

歴史と背景

この楽曲は、1799年にライプツィヒのブライトコプフ・ウント・ヘルテル社によりモーツァルトの全作品が出版される際に取り上げられました。楽譜は、アンナ・マリアやコンスタンツェ、さらには他の音楽家や出版社から収集されたものであり、その中に含まれていたイ短調交響曲がK. 16として知られています。ルートヴィヒ・フォン・ケッヘルは、この曲が散逸してしまったものとして「K. Anh. 220」と名付けました。

モーツァルト研究者のアルフレート・アインシュタインは、K. 16の初期の構成とこの交響曲を比較し、1765年のロンドンで作曲された可能性を示唆しました。この研究が促進された結果、イ短調交響曲は「K. 16a」という番号が付けられ、初期作品としての位置づけが検討されました。

1982年には、デンマークのオーデンセにある地方交響楽団の保管庫からこの交響曲が見つかりました。それは複数の写譜者による手書きのもので、モーツァルトの自筆譜ではありませんでした。発見された楽譜の表紙には、この曲が1793年にはデンマークのコレギウム・ムジクムによって所有されていたことが記されています。モーツァルトの家族に関わりを持つ写譜屋がこの楽曲の写しを作成できなかったため、流通の歴史が不明確なままとなっています。

現状と研究の進展

この交響曲は、近年の音楽研究において重要な議題となっています。モーツァルトの音楽スタイルを研究する専門家たちは、K. 16aがモーツァルトの作曲によるものではないとの見解が多く、流派や作風からその真の作者が特定されないまま議論が続いています。専門家の間では、オーデンセの名で呼ばれるこの交響曲がモーツァルトの作品として扱えないとの合意が形成されている状況です。

停止された楽章

K. 16aについては、モーツァルトの木管楽器のためのディヴェルティメントK. 186の裏面に、一部作曲が取り消された草稿が残されています。多くの研究者は、この部分がK. 16aと関連している可能性があるとして注目し、相関関係の探求が行われています。この点については未だに不確定要素が多く、議論が続いているところです。

楽器編成と構成

この交響曲は、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、弦楽合奏から成る編成で、演奏時間は約13分程度です。楽曲は全3楽章で構成されており、第一楽章はアレグロ・モデラートの形式で始まり、第二楽章はアンダンティーノ、第三楽章はロンド形式のアレグロ・モデラートで締めくくられます。これらの楽章は、作品全体を通じてモーツァルト風の様式を感じさせますが、他の作品とは一線を画す部分も発見されているため、細部にわたる分析が急務となっています。

このように、交響曲イ短調K. Anh. 220（16a）は、モーツァルトの作品としての扱いとその歴史的背景に関する研究が進行中の謎多き楽曲です。

もう一度検索