京仁アラベッキル

京仁アラベッキルについて

京仁アラベッキル（キョンインアラベッキル）は、大韓民国のソウル特別市と仁川広域市を結ぶ運河で、漢江から黄海（京畿湾）へと至る重要な交通路です。この運河は総延長約18キロメートルに及び、もともとは京仁運河と呼ばれていました。

概要と建設経緯

京仁アラベッキルは、ソウル特別市の江西区開花洞にある幸州大橋付近から始まり、仁川広域市西区始川洞を経て黄海へと至る経路で構築されています。運河のほとんどの部分は、既存の放水路を拡張して利用しており、実際に新たに整備された区間は4キロメートル未満とされています。1995年から民間企業による建設計画が進められていましたが、環境問題に対する懸念から一度は頓挫しました。その後、2008年に韓国水資源公社が公共事業として進める方針を決定し、2009年に着工。2011年に完成し、2012年には正式に開通しました。この運河の開通により、外国から直接ソウル市内へ貨客船が寄港できるようになることが期待されています。

名称の由来

「アラベッキル」の名称は、公募によって選ばれたもので、2009年5月に命名されました。この名称は「船の道」や「航路」を意味する「ペッキル」（뱃길）と、アリランの歌詞から取られた「アラ」（아라）を組み合わせた造語です。アラには民族文化や精神の意味が含まれており、また漢江の古称である「アリス」（阿利水/아리수）を連想させる側面もあります。

事業の賛否と環境への影響

京仁運河建設計画は、1987年の大統領選挙での公約に基づき進められてきました。最初は民間の企業が中心となって進行していたものの、数回の計画見直しや環境保護団体からの反対により、計画は何度も危機に晒されてきました。環境問題に関する懸念も根強く、運河の建設による地域の生態系への影響が懸念されています。

また、韓国開発研究院（KDI）が提出した経済性に関する報告書と、その後の調査結果が相反することもあり、運河の建設による経済効果についての見解も分かれています。反対派は環境へのダメージを理由にこの事業の中止を求めており、議論が続いています。本プロジェクトは雇用創出と経済活性化の観点からも注目されていますが、環境の保護とのバランスをどのように取るかが問われています。

京仁アラベッキルは、韓国の交通インフラ整備の一環として重要な役割を担っていますが、今後もその運用や環境保護において様々な課題を乗り越えていく必要があるでしょう。

外部リンク

• - 京仁アラベッキル（경인 아라뱃길）

関連項目

• - 朝鮮半島大運河

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