京山幸枝若 (初代)

初代 京山幸枝若の生涯と業績

初代京山幸枝若（きょうやま こうしわか）は、1926年8月10日に岡山県に生まれた浪曲師です。本名は小椋 喬。彼は日本の伝統芸能、特に浪曲の世界において非常に重要な存在であり、多くのファンに支持されました。

彼の家族は浪曲師としての素養を持つ人々で構成されていました。父である加茂川燕楽と母の加茂川蘭子は、それぞれ浪曲界の著名な人物であり、また妹の華ゆりは浪曲漫才のフラワーショウで活躍していました。そのため、京山幸枝若は幼少期より厳しい修行に励み、全国を巡業する生活を送りました。彼の学歴は小学校1年生の1学期のみであるものの、5歳で初舞台を踏むなど、早くから芸に目覚めていました。

彼のキャリアは、初めは2代目京山幸玉の弟子として始まりました。しかし、13歳のときに初代京山幸枝の門下に移り、そこで「幸太郎」と名乗ります。1941年には「京山幸枝若」という名に改名し、彼の人生が本格的に始まります。戦後、彼は地方巡業を行い、山県隆の名で活動していましたが、再び幸枝若として名乗り、その後1953年に姫路に戻ります。

彼の芸風は、師匠譲りの読み物とその美声で構成され、多くの人々の支持を受けました。彼は大阪の民謡、特に江州音頭や河内音頭を取り入れ、「京山幸枝若節」という独特のスタイルを確立しました。さらに、創作浪曲にも力を注ぎ、若者向けの番組に主演したり、桜川唯丸や漫才師、ロックバンドのヒカシューと共演するなど、伝統的な浪曲のイメージからの脱却を図りました。

彼の長いキャリアの中で、多くの曲師が彼のそばで活躍しました。特に二丁三味の藤信初子と小池菊江、そしてギターを担当した近江吾朗は彼の音楽に大きな影響を与えました。京山幸枝若は、歌謡浪曲を競い合った時代のひとりとしても知られています。

彼は多くの賞を受賞しており、1970年には大阪府民劇場奨励賞、1975年には文化庁芸術祭優秀賞を受賞しました。さらに、1991年には紫綬褒章を受章し、その功績が正当に評価されることとなります。また、1977年には浪曲親友協会の会長を務め、自らの経験を基に協会の発展に寄与しました。晩年には相談役としても活躍しました。

彼の十八番の読み物には「会津の小鉄」、「寛政力士伝」、「河内十人斬り」、「桂春団治」、「左甚五郎」、「山口組三代目」などがあります。特に「嗚呼機動隊　内田隊長浅間山荘に散る」は、新野新が脚本を手がけた作品であり、1975年にローオンレコードから発売されています。

また、彼の歌にも多くの名作があり、テイチクから発売された「会津の小鉄」、「でかんしょ渡り鳥」、「任侠妻恋傘」、さらには大阪府のナショナルショップ「神鳴電器」のPR盤「おまかせ下さい神鳴電器」などがあります。さらに、ローオンレコードからは「小鉄ざくら/極道」、「弟子」といった作品もリリースされています。

最後に、京山幸枝若は、実の子供であり、婚外子を含む2代目京山幸枝若、京山幸若、京山幸太郎といった方々に自らの技術を受け継いでいきました。彼は、浪曲界の歴史に深く根ざした名人であり、その業績は今もなお多くの人に影響を与えています。

もう一度検索