京急1000形電車 (初代)

京急1000形電車

京急1000形電車は、1959年12月に登場し、1960年1月13日から営業運転を開始した京浜急行電鉄の通勤形電車です。新1000形が登場して以降は、区別のため旧1000形と呼ばれることもあります。

本稿では、1000形の試作車となった初代800形、京急車両工業を通してリースされた京成電鉄1000形電車、千葉急行電鉄1000形電車、京急から譲渡された北総開発鉄道7150形電車についても記述します。

概要

都営地下鉄1号線（現・浅草線）乗り入れ用として計画され、1959年から1978年までの19年間で356両が製造されました。製造時期により、台車や電装品に差異がありましたが、1971年以降は統一されています。全車電動車の2両1ユニットで構成され、編成替えが比較的自由に行えました。1968年6月21日の都営1号線相互乗り入れ開始以降は直通運用に使用され、都営浅草線・京成電鉄・北総鉄道北総線の各線で運用されましたが、2008年11月7日に乗り入れ運用を終えました。356両すべての車両形式が「デハ1000形」であるため、単一形式としては私鉄最多製造車両です。

新1000形などの省エネルギー車に置き換えられ、2010年6月27日に「ありがとう運転」を行った後、翌28日に営業運転を終了しました。営業運転終了後もデハ1351-デハ1356の2両編成がクト1形の牽引用として車籍を有していましたが、2011年3月29日付で除籍され、形式消滅しました。

分類方法

製造期間が長期にわたったため、途中大きな設計変更が何度か行われています。その後の改造により仕様差異は縮小しましたが、廃車時まで細部に残った差で製造時ごとに分類することができました。700形登場以前に製造された前期製造車と冷房装置を搭載して製造された後期製造車では搭載機器が異なります。

製造年次ごとに細かい差異はあるものの、大きくは以下のように分類されます。

1095 - 1098: 1958年に800形（初代）として製造され、後に1000形に編入された車両。
1001 - 1048: 1959年・1960年に製造された車両。登場時は運転台正面が非貫通型。
1049 - 1078、1101 - 1130: 1961年・1962年に製造された車両。運転台正面が貫通型となった。
1131 - 1196、1201 - 1206: 1964年 - 1966年に製造された車両。前面に行先・種別・運行番号を表示する窓が独立して設けられるとともに、連結面が折妻とされた。
1207 - 1242: 1968年に製造された車両。連結面後退角が縮小されたほか、換気装置変更などが行われた。
1243 - 1298、1301 - 1348、1351 - 1380、1079、1080: 1971年から1978年の製造車。冷房装置の搭載、空気ばね台車の採用などが行われた。

構造

外観

全長18m、幅1,200mmの片開き3扉、ドア間窓3枚、車端部窓2枚、運転台後部窓1枚。初期の車両は前面非貫通型で登場しましたが、1961年からは前面貫通型に、1963年からは方向幕などが独立した窓に収められた形態に変更されました。

内装

壁がオリーブグリーン、天井が白、座席が青、床色が薄緑という内装色でした。座席はロングシート。非冷房車は丸屋根で換気装置はファンデリア、首振り扇風機、またはラインデリア。冷房車は平天井でした。

主要機器

製造途中で使用機器が何回か変更されています。1966年以前の製造車では電装品は東洋と三菱が独自に設計したものが使用され、混成してユニットを組むことができず、駆動方式も異なっています。また、車体製造者が設計した独自の台車を装着していました。

製造年式およびその差違

各製造時ごとの特徴をまとめます。

800形（初代）→1095 - 1098: 1958年に製造された試作車。1965年に1000形に改番。
1001 - 1048: 1959年から1960年にかけて製造された車両。1969年から1972年にかけて正面貫通扉付きに改造。
1049 - 1078、1101 - 1130: 1961年から1962年にかけて製造された車両。落成当初から前面に貫通扉を設置。
1131 - 1196、1201 - 1206: 1964年から1966年にかけて製造された車両。前面の行先・種別表示器が窓内から独立。
1207 - 1242: 1968年に製造された車両。地下鉄乗り入れに備えた設備を装備。
1079・1080、1243 - 1298、1301 - 1348、1351 - 1380: 1971年から1978年にかけて製造された車両。集中式冷房装置を搭載。

各種工事

冷房改造

1976年から非冷房で製造された車両を対象に冷房改造工事が行われました。冷房装置は東芝RPU-2209系が採用され、1両につき4台が設置されました。1988年に全車冷房改造完了。

連結器交換

連結作業の省力化のため、電気連結器付き廻り子式密着連結器 (CSD-90) への交換が1989年頃に行われました。

運用

2両編成: 増結用として使用。
4両編成: 各種別に運用。
6両編成: 都営浅草線乗り入れ特急用の主力として運用。
8両編成: 朝ラッシュ時の12両編成非乗り入れ特急の基本編成、快速特急として運用。

特殊塗装など

京急創立110周年を記念し、2008年に過去の車両をイメージしたラッピングを施した列車が運行されました。

改造・譲渡など

廃車された車両の一部が譲渡・貸出されたほか、事業用車への改造も行われました。

高松琴平電気鉄道
北総開発鉄道
京成電鉄

保存車

1052（前頭部のみ）
1185（前頭部のみ）
1351-1356

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