京成モニ20形電車

京成モニ20形電車

京成モニ20形電車は、かつて京成電鉄に在籍した事業用の無蓋電動貨車です。1974年に21・22の2両が大栄車輌で製造されました。

概要

モニ20形は、老朽化した凸型電気機関車デキ1形とモニ5形を置き換える目的で製造されました。車体はモニ10形に準拠していますが、モニ10形が片運転台であるのに対し、モニ20形は両運転台となっています。走行機器は510形の廃車発生品を流用しており、駆動方式は吊り掛け駆動です。製造当初の制動装置は元空気ダメ管付自動空気ブレーキでしたが、1991年3月に電磁直通ブレーキ（HSC）に変更されました。営業車両と性能が大きく異なるため、年数回、本形式を使用した乗務員訓練列車が運転されていました。

塗装はJRの配給車とほぼ同じで、前面の警戒帯が黄色、その他は青色に塗られていました。無蓋車のトキ20形や長物車のチ5形を連結して走行可能で、1両から6両まで柔軟な編成を組むことができました。モニ10形が廃車となった後は、唯一車籍を有する電動貨車でした。

車体

車体長は一般車両と同じ18m、自重は33tです。構造的には京浜急行電鉄の電動貨車に類似しています。前面はモニ10形とほぼ同じですが、テールライトの形状がモニ10形の丸形に対し、モニ20形は角形です。21の成田寄り、22の上野寄りには乗務員室の後部に作業者用の控室が設けられ、その上部にはIR無線アンテナとパンタグラフが設置されています。控室の化粧板はピンクがかったベージュ色のデコラ張りで、これは3100形以前の京成車両にも見られました。控室の後ろには窓付きの扉があり、そこから荷台へ移動できました。控室のない側には扉はなく、後方確認用の窓が設けられていました。また、夜間作業用に後方確認用窓の上部には大型のライトが設置されていました。台車は510形の発生品である住友製のFS28を流用しています。

主な用途

モニ20形は、電動ホッパ車であるモニ10形とは異なり、配給輸送や非常時の救援・車両牽引、トキ20形やチ5形を連結してのバラスト散布・レール輸送など、多岐にわたる用途に使用されました。スノープラウも搭載されており、大雪の際には除雪作業にも従事しました。

運用終了

モニ20形は、トキ20形やチ5形と共に高砂車両基地に常駐していましたが、吊り掛け式駆動方式である510形の足回りを流用しているため老朽化が進み、走行機器の予備部品が不足していました。また、性能の違いから乗務員訓練を独自に行わなければならないなどの課題もありました。これらの理由から、2007年3月の工臨をもって運用を終え、同年3月28日に宗吾車両基地へ廃車回送され、その後解体されました。

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