京成2000形電車

京成2000形電車：戦後復興の象徴から変遷を辿った通勤車両

京成2000形電車は、京成電鉄および新京成電鉄に在籍した通勤形電車です。その出自は、戦災によって被災した国鉄の車両を譲り受け、復旧させたことに始まります。当時の苦しい状況を反映した、独特の経緯を持つ車両でした。

誕生の背景：戦災復旧と車両限界

1948年から1950年にかけて、京成電鉄は国鉄からモハ30形、モハ31形、サハ39形、モハ50形、クハ65形の計18両を譲り受けました。これらを制御客車クハ2000形2001 - 2018として復旧させたのです。復旧にあたっては、可能な限り元の形状を維持しましたが、京成の車両限界に対応させるため、車体幅を200mm縮小するという大規模な改造工事が行われました。この改造が、前面貫通扉が極端に狭いという、外観上の大きな特徴となりました。

車体サイズは、長さ16.0 - 16.2m、幅2.6m。台車は、TR-11を当時の1,372mm軌間に改軌したものや、手持ちのブリル27MCB-2、雨宮製作所A-1などが使用されました。

特筆すべきは、最後に製造された2017・2018号車です。これらは大栄車輌で製造され、台枠と20形のMCB台車を流用しつつ、左右対称の半鋼製車体を新製しました。前面形状は200形に準じ、窓配置は国鉄モハ50形と同様とされました。また、この2両は当初から緑の濃淡で塗り分けられた「青電」塗装で竣工しています。

新旧番号対照

以下に、種車となった国鉄車両と、京成クハ2000形の番号対照を示します。

クハ65021→クハ2001
クハ65186→クハ2002
クハ65069→クハ2003（70形に改造された説あり）
クハ65119→クハ2004
クハ65097→クハ2005
クハ65148→クハ2006
クハ65044→クハ2007
クハ65062→クハ2008
クハ65096→クハ2009（東京急行電鉄に譲渡された説や70形に改造された説あり）
クハ65171→クハ2010
モハ50011→クハ2011
サロ37009→サハ39038→クハ2012
サロ37008→サハ39037→クハ2013
モハ30015→クハ2014
モハ30161→クハ2015
モハ31021→クハ2016

更新と譲渡：その後の変遷

1957年から1961年にかけて、大榮車輌で2100形更新車をモデルとした全金属製車体への更新工事が実施されました。車体長は16.5m、車体幅は2.7mに拡大されています。側面二段雨樋の間に埋め込み式のベンチレーター（通風器）を採用したため、屋根上がすっきりとした外観となりました。二段雨樋の採用は、当時の大榮車輌の車体製造技術が未熟で、屋根カーブの処理を隠すためだったという説もあります。このスタイルは、1958年以降の100形の更新にも採用されました。

更新から外れた2017・2018は、1964年に新京成電鉄に譲渡され、1971年の更新で1100形に編入、サハ1111・1112となりました。また、1966年から1978年の間に、2003（譲渡後2007に改番）・2005・2006・2009 - 2011・2013 - 2016も新京成に譲渡されています。京成に残った車両は、ATS・列車無線取り付けの対象から外れたため、ほとんどが中間車として使用されました。1980年までに、2008を除いて廃車されています。

2008は、1967年に更新（新性能化、多段式制御器装備）された210形と共に編成を組み、本形式で唯一の先頭車となりました（マスコン交換）。1970年には特別修繕が行われ、前照灯の2灯化、台車交換（FS-28に）、二段雨樋の下段撤去などが実施されました。その後、車体塗色が変更され、「新赤電」色（ただしステンレスの飾り帯はない）となりましたが、1987年に廃車されました。

新京成に譲渡された車両は、1978年から2009・2011（FS-28装備）を除き特別修繕が行われました。運転台を撤去して完全な客室化、二段雨樋の下段撤去、側引戸交換などが実施され、形式もクハからサハに変更されました。1990年に、最後まで残っていた新京成の旧型電車編成に組み込まれていた2007・2010が廃車されたことにより、形式消滅となりました。

関連項目

西武311系電車
東急3600系電車
相鉄2000系電車
東武クハ450形電車
神戸姫路電気鉄道1形電車 - 一部の車両が本形式のクハ2001 - 2016と同様、車体幅縮小改造を受けている。

外部リンク

車両カタログ（17m通勤型） - ウェイバックマシン（2004年7月13日アーカイブ分）

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