京成3100形電車 (初代)

京成3100形電車

京成3100形電車は、1960年から1998年まで京成電鉄で活躍した通勤形電車です。本項では、千葉急行電鉄（現・京成千原線）へリースされていた車両についても解説します。

概要

3100形は、1960年11月から1962年2月にかけて、3050形と同様に2両固定編成16本32両が製造されました。3050形との主な違いは、前照灯が左右上部に配置された点と、側面乗務員室扉が大型化された点です。

製造時期により1次車（3101 - 3116）と2次車（3121 - 3136）に分けられます。2次車は京成で初めて空気ばね台車を本格的に採用しました。

駆動装置、モーター、台車の組み合わせは、1次車と2次車で異なりました。具体的には、以下の通りです。

3101 - 3108・3121 - 3128：TDカルダン・東洋電機製造製モーターTDK810/4F・汽車製造製台車KS-116A（2次車はKS-116B）
3109 - 3116・3129 - 3136：WNカルダン・三菱電機製モーターMB-3028E・住友金属工業製台車FS-329A（2次車はFS-329-B）

2次車は1次車と仕様が異なる点が多かったため、3120形と称されることもありました。主な相違点として、空気ばね台車の採用に伴い空気圧縮機 (CP) の容量が増加したこと、前面の運行番号表示器が運転台窓に設置されたこと、車体側面の社名ロゴ表記が「K.D.K.」から「Keisei」に変更されたことなどが挙げられます。小湊鉄道が導入したキハ200形気動車は、本系列の前面デザインや塗装に影響を受けました。

更新前の主な改造と動向

1970年前後には、屋根部の二段構造が廃止され、ベンチレーターが取り付けられました。側扉の窓ガラス支持方式も変更されました。3121 - 3124はステンレス製の小窓タイプ扉を試用しました。1次車では、運行番号表示器が2次車と同様のタイプに変更され、運転台窓上の表示窓は廃止されました。

1980年春以降、一部の編成で塗装がツートンカラーからファイアーオレンジベースに変更されました。1982年には、廃車となった「青電」の代替として、3121・3122が行商専用車として使用されました。

更新前の編成は、1次車は車両番号順に4両編成を組成したり、3000・3050形と組み6両を組成することが多く、2次車は3200形と連結して6両編成を組むことが多かったですが、1981年夏に扉開閉時間の問題から混結は廃止されました。

更新工事

1980年7月から1982年12月にかけて更新工事が施工され、車両番号順に4両編成化されました。主な改造点として、前照灯と尾灯のステンレス化、運転台窓の小型化、前面貫通扉と側面乗務員扉のステンレス化、室内内装の更新などが挙げられます。当初予定されていた冷房装置搭載は見送られました。

更新後から冷房化工事開始時までの改造と動向

1984年から1986年にかけて、室内の貫通扉と乗務員扉の窓ガラス支持方式が変更され、空気圧縮機が交換されました。編成は、形式内で4両単独や6両編成を組むことが多く、1次車は3050形と連結して6両編成を組むこともありました。1986年12月には、一時的に3000形中間ユニットを挿入して6両固定編成を組んだこともありました。

冷房搭載工事

1987年7月より、2次車から冷房搭載工事が実施され、同時に種別・行先表示器も設置されました。各車に分散形冷房装置が搭載され、室内は扇風機が設置されました。電動発電機 (MG) も交換されました。1次車の工事は1989年6月から開始され、同年12月末までに全車の冷房搭載が完了しました。

冷房化後の改造と動向

1990年末から1991年初めに一部編成が他形式と組成された以外は、各グループで4・6・8両編成を組成していました。1991年3月の改正以降は3150形とともに8両編成で運用されることが多くありました。1990年秋から冬にかけて、主幹制御器の小型化やモーターの交換が行われました。1992年春には行先表示器の字幕が変更されました。1993年11月からは、車体塗装が現行標準色に変更されました。

廃車とリース

1995年3月に一部編成が廃車され、3050形とともに千葉急行電鉄にリースされました。1996年1月から3月にかけて、多くの編成が廃車されました。一部の2次車は千葉急行電鉄にリースされ、3150形と混結されました。1996年3月末時点で京成車としての3100形は形式消滅となりました。

リース車の動向

1997年6月上旬に一部のリース車が京成に返却され廃車となり、代わりに3150形がリースされました。1998年3月末には別のリース車が京成に返却され廃車されました。1998年10月1日に千葉急行電鉄が会社解散し、施設は京成電鉄に譲渡されました。リースされていた車両は全車京成に返却され、引き続き使用されました。1998年12月上旬に最後の3100形が廃車され、形式は完全に消滅しました。

3121・3122は、様々な改造や経歴を持つ車両でした。

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