京成3200形電車 (初代)

京成3200形電車：昭和から平成を駆け抜けた通勤形車両

京成3200形電車は、1964（昭和39）年から2007（平成19）年まで京成電鉄で活躍した通勤形電車です。東京都交通局（都営地下鉄）浅草線との相互直通運転に対応しており、浅草線を介して京浜急行電鉄線への乗り入れも可能でした。ただし、京急線への乗り入れは1998年以降、一部の北総鉄道リース車両を除き、営業運転では行われなくなりました。

概要

1964年10月から1967年12月にかけて、3201 - 3280・3291 - 3298の計88両が製造されました。外観上の特徴として、京成で初めて両開きドア（アルミ製、窓ガラスは黒Hゴム支持）を採用した点が挙げられます。また、正面形状が丸妻から折妻に変わり、運転台の床が高くなったことで窓のサイズが変更され、前面のアンチクライマーの数が増えました（3150形は2本、3200形は3本）。

側面窓の配置は、営団500形や都営地下鉄5000形と同様に、ドア間に3箇所、後位車端に2箇所という独特のスタイルで、これは後の3500形にも受け継がれました。

3291 - 3298の8両は、特急「開運号」用として製造されたため、座席はセミクロスシートで、3292と3296にはトイレと車内販売準備室が設置されました。しかし、AE形（初代スカイライナー）の登場後は、格下げを前提として1974年にトイレが撤去され、座席もロングシートに変更されました。

1964年10月 - 11月に製造された3201 - 3220の20両は、編成中のすべての台車に主電動機を搭載したいわゆる「8M車」でした。一方、3224編成は、先頭車の運転台寄りの台車を付随台車とした試験車として登場し、主電動機の出力も増強されました。この「6M車」と呼ばれるタイプは、その後1982年製の3500形まで採用されました。

更新工事と冷房化

1985年7月から1989年6月にかけて、3200形は更新工事と冷房化が行われました。前照灯・尾灯の位置変更、急行灯の新設、妻窓の廃止、ユニット間貫通路の狭幅化、室内化粧板の変更、扇風機の交換、電動発電機の大容量化、分散式冷房装置の設置など、多岐にわたる модернизацияが実施されました。

3150形の更新工事との主な違いは、側窓がユニット構造化されたこと、前面貫通扉に電照種別表示器が設置されたこと、先頭車が編成の中間に連結される際に運転席と助士席を仕切れるように変更されたことなどが挙げられます。また、室内蛍光灯の一部が停電時の予備灯とされ、白熱灯による予備灯は廃止されました。

工事の形態は車両によって異なり、8M車と6M車で更新内容に違いが見られました。特に6M車は、6両固定編成化を前提とした改造が行われ、運転台の撤去やパンタグラフの増設などの工事が実施されました。

塗装変更

1990年代に入り、AE100形や3700形といった新型車両の登場を受け、3200形を含む在来車のイメージアップを図るため、塗装変更が検討されました。1991年12月から1993年5月にかけて、8M車4編成を対象に試験塗装が行われ、様々なカラーリングが試されました。その結果、ライトグレーをベースとした新塗装が決定し、1993年から順次変更されました。

その後

台車振り替え工事やMG・CPの交換、CIロゴの追加など、細部にわたる модернизацияが続けられました。また、浅草線相互乗り入れ40周年を記念した臨時列車や、リバイバル塗装による「特急開運号」の運転など、イベント列車としても活躍しました。

しかし、老朽化には勝てず、2003年3月から廃車が始まりました。最後まで残った3200形は、2007年11月に引退し、その歴史に幕を閉じました。

3200形は、高度経済成長期からバブル経済、そして21世紀まで、日本の鉄道史を彩った名車として、多くの鉄道ファンに愛されています。

関連情報

• - 3200形開運号用と同じく、格下げを前提とした他社の車両

- 小田急2300形電車
- 近鉄6431系電車
- JR東日本キハ100系気動車（キハ110・111・112形300番台）

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