京極宮文仁親王

京極宮文仁親王

京極宮文仁親王（きょうごくのみや あやひとしんのう）は、延宝8年（1680年）に生まれ、宝永8年（1711年）に32歳で薨去した、江戸時代中期の皇族です。霊元天皇の第六皇子として生まれ、母は内大臣松木宗条の娘である藤原宗子（敬法門院）です。幼名は富貴宮、または茶々丸と呼ばれていました。

生涯

貞享5年（1680年）に有栖川宮幸仁親王の養子となりますが、幸仁親王に実子が誕生したこと、そして元禄5年（1692年）の作宮の夭折により常磐井宮（桂宮）が空主となったため、元禄8年（1695年）に幸仁親王との養子縁組を解消しました。そして元禄9年（1696年）7月、常磐井宮家を相続し、新たに京極宮の宮号を賜りました。

元禄10年（1697年）5月11日に親王宣下を受け、文仁と命名されます。同月16日には元服し、兵部卿に任ぜられました。宝永6年（1709年）4月には一品に叙せられています。

東山天皇とは同母兄弟でしたが、その関係ゆえに皇位継承を巡って警戒の対象とされていました。元禄12年（1699年）には、母である藤原宗子が側近の議奏中御門資熙と結び、東山天皇を退位させて文仁親王を擁立するという風説が流れました。このことがきっかけとなり、中御門資熙は逼塞を命じられます。さらに元禄13年（1700年）には、東山天皇の三宮（後の公寛法親王）の実父が文仁親王であるという噂が流れました。この噂を疑った東山天皇は、三宮を出家させ、異母弟である長宮（後の中御門天皇）を後継者にする方針を立てたとされています。

宝永8年（1711年）3月6日に薨去。享年32歳。法名は智恵観院。

系譜

家女房：滋野井直子 - 滋野井公澄の娘
王子：京極宮家仁親王（若宮、1704-1767） - 8代京極宮
王子：守恕入道親王（稲宮、1706-1729） - 仁和寺宮、後光明寿院
王女：常子女王（美目宮、1710-1779） - 専修寺円猷室、紫雲光院観月智円
家女房：浅田連
王女：大舟尊梁（共宮、1711-1731） - 光照院門跡

このように、京極宮文仁親王は、皇位継承を巡る政治的な駆け引きの中で翻弄されながらも、京極宮家を支え、後世に繋げた人物でした。

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