京極高備

京極高備：丹後峰山藩を治めた大名の一生

京極高備は、江戸時代後期に丹後国峰山藩の藩主として活躍した大名です。従五位下周防守に叙任されました。1757年、六代藩主京極高久の長男として江戸で誕生しました。幼名は千之助。

高備は、天明8年（1788年）に父が高久が幕府の若年寄に就任すると、家督を継ぐ前から藩政の中枢を担う立場となりました。その後、文化5年（1808年）、父の死去に伴い家督を相続し、藩主の座に就きます。

藩主となってからも、高備は幕政への関与を続けました。文化9年（1812年）2月には若年寄に任命され、幕政に深く関わりました。藩政においては、検地や寺社統治に力を注ぎ、藩の基盤強化に尽力しました。

高備の治世における大きな出来事の一つに、金刀比羅神社の創建があります。文化8年（1811年）、高備の命により、讃岐国の金刀比羅宮から分霊を勧請し、峰山藩に金刀比羅神社が建立されました。現在も残る本殿の両脇には、高備と次男の高聡の名で奉納された青銅燈籠があり、その歴史を物語っています。文政7年（1824年）の奉納とありますから、高備は少なくともこの時点では健康であったと推測されます。

しかし、高備の晩年は不幸な出来事が続きました。天保3年（1832年）、五男の高倍に家督を譲り隠居しますが、高倍、そしてその後を継いだ七男の高鎮が相次いで早世するという悲劇に見舞われます。高備自身も天保6年（1835年）、79歳で生涯を閉じました。その墓は、京都府京丹後市峰山町吉原の安泰山常立寺にあります。

高備の生涯は、藩政改革に尽力した藩主としての側面と、晩年の不幸な出来事という対照的な二面性を持ち合わせています。彼の治世は峰山藩にどのような影響を与えたのか、また、彼の不幸な晩年はどのような背景があったのか、歴史を紐解く上で重要な課題と言えるでしょう。

系譜

父: 京極高久（1729-1808）
母: 木下利潔の娘
正室: 土方雄端の娘
継室: 本多康桓の娘
子女:
長男：京極高寧
次男：京極高聡（1799-1830）
三男：一色直貞
四男：津田正応
五男：京極高倍（1808-1834）
七男：京極高鎮（1811-1834）
女子：悦子（黒田直方継室、のち山口弘致正室）

高備の系譜からも、彼の家族を取り巻く環境や、家督相続をめぐる複雑な事情がうかがえます。これらの要素も、彼の生涯を理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。 高備の生涯は、藩主としての成功と晩年の悲劇という、複雑で興味深い歴史の物語です。彼の功績と不幸な晩年を通して、江戸時代の藩主の生き様を改めて考えさせられます。

もう一度検索