山口弘致

山口弘致（やまぐち ひろむね）は、常陸牛久藩の第8代藩主であり、その治世は藩政の再建と安定に捧げられました。第6代藩主・山口弘道の長男として生まれ、母は鈴木氏。幼名は仲之進と称しました。官位は従五位下、周防守、後に但馬守に叙任されています。

天明7年（1787年）12月13日、第7代藩主・山口弘務が後継者を残さずに急逝したため、弘致は養子として迎えられ、家督を継承しました。寛政9年（1797年）10月15日には、将軍徳川家斉に謁見し、同年12月18日には従五位下周防守に叙任されました。藩主としての弘致は非常に有能であり、天明の大飢饉によって甚大な被害を受けた藩内の復興に尽力しました。具体的には、囲米制度を導入し、藩政の立て直しを図りました。

しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。牛久助郷一揆が発生するなど、藩政運営は困難を極めました。大坂定番を勤めていた文政11年（1828年）頃から体調を崩し、翌文政12年（1829年）8月12日に49歳でこの世を去りました。跡は長男の弘封が継ぎました。


系譜

実父: 山口弘道
実母: 鈴木氏（側室）
養父: 山口弘務

正室、継室

正室: 悦子 - 京極高備の娘
継室: 曽根 - 本多忠誠の養女、本多忠雄の娘

子女

長男: 山口弘封
三男: 山口弘穀
四男: 山口弘敞
子女: 天野重教
子女: 京極高景正室

弘致の治世は、天明の大飢饉からの復興という大きな課題に直面しながらも、囲米制度の導入など、藩政の安定化に一定の成果を上げました。しかし、その一方で、牛久助郷一揆のような民衆の不満も噴出し、多難な時代であったことが伺えます。彼の生涯は、藩主として、また一人の人間として、時代の荒波に翻弄されながらも、藩のために尽力した姿を今に伝えています。

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