京王1800系電車

京王1800系電車

京王1800系電車は、1952年に京王帝都電鉄（現：京王電鉄）が井の頭線に導入した通勤形電車です。当時の井の頭線の輸送力増強と車両の近代化を目的として製造されました。

概要

1952年、井の頭線の3両編成化に対応するため、以下の2形式13両が製造されました。

デハ1800形：制御電動車（8両：1801 - 1808）
サハ1300形：付随車（5両：1301 - 1305）

デハ1800形のうち、1804 - 1808は日本車輌製造で新製された増備車であり、国鉄払い下げ品の台車（TR-35A）と主電動機（MT-30）を使用しています。一方、1801 - 1803は、デハ1400形の戦災復旧車（1402・1403・1406）の車体を更新した車両であり、台車や電装品は種車のものを流用しています。同様に、サハ1300形も戦災復旧制御車クハ1570形のうち車体更新されなかった車両（1576・1580・1582・1578・1572）の車体を新製したものです。

車両

車体は、デハ1760形やクハ1570形車体更新車（後のクハ→サハ1250形）と同様の全長18m級ですが、張り上げ屋根を採用しているため、雨樋の位置が高い点が特徴です。

デハ1800形：片運転台、窓配置 d1D4D4D2
サハ1300形：中間車、窓配置 2D4D4D2

デハ1800形の前面は非貫通の3枚窓で、下部左右にアンチクライマーが設置されています。これは、デハ1760形やデハ1710形と共通の設計です。

機器の差異

デハ1800形のうち、1801 - 1803はデハ1400形の機器流用車であるため、1804 - 1808とは使用機器が異なります。また、運転台の向きも異なり、1801 - 1803は渋谷向き、1804 - 1808は吉祥寺向きに設置されていました。

その後の改造

1964年：デハ1800形の前照灯を白熱灯1灯から2灯に改造
1970年：デハ1804 - 1808の前照灯をシールドビーム化
1963年：1804・1805の台車を東急車輛TS-117に交換
1975年：井の頭線の5両編成化に伴い、サハ1300形のうち1303 - 1305を1000系の中間車に転用。貫通扉の拡幅とコンプレッサー装備を実施。デハ1808は運転台を撤去し中間車化改造。
* 1979年：デハ1804のパンタグラフ撤去・代用付随車化、デハ1807の棒連結器取り付けによる実質的中間車化

運用

登場当初は、デハ1800形-サハ1300形-デハ1800形の3両編成などで使用されていました。1967年には、デハ1800形のうち更新名義車の1801 - 1803がデハ1400形残存車とともに台車を2700系由来の東急車輛TS-101に交換の上、支線用車両として京王線に転属しました。

京王線に転属したデハ1801 - 1803は、1974年に6000系の増備により廃車となりました。1802・1803は伊予鉄道に譲渡され、同社では付随車化されサハ510形511・512として活躍しましたが、1987年8月3日に512が、1988年9月30日に511がそれぞれ廃車除籍となりました。

井の頭線に残った車両は、3000系の増備とともに朝ラッシュ時用となり、デハ1800形とサハ1301・1302はデハ1900形などと組み、サハ1303 - 1305は1000系と組んで使用されていましたが、デハ1805・1806が1980年に、その他の車両も1983年 - 1984年にかけて全車廃車となりました。

廃車後は全車解体されており、保存目的とした車両は存在していません。

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