京王220系電車

京王220系電車

京王220系電車は、京王帝都電鉄（現・京王電鉄）が1963年の京王線系統の架線電圧昇圧（600V→1500V）に際し、支線区での運用を目的として製造した通勤形電車です。

概要

本形式は、競馬場線や動物園線といった支線区での運用を主眼に、自社桜上水工場にて、東横車輛の出張工事によって改造されました。種車には、昇圧以前に片運転台化または中間電動車化が施され、妻面に広幅貫通路が設置されていたデハ2125形、デハ2400形などが選ばれました。

京王では1957年4月に事業用車両の形式を3桁に改番しており、本形式もこれに倣っています。これは、14m級という車体が事業用車両と同程度のサイズであったため、事業用車両の空き形式を割り当てられたためとされています。

車両概説

220系は、制御電動車デハ220形と制御車クハ230形の2両で1ユニットの固定編成を組みました。

デハ220形

八王子方に運転台を持つ制御電動車です。デハ221は運転台側に、デハ222は連結面側にパンタグラフを搭載していました。

クハ230形

新宿方に運転台を持つ制御車で、電動発電機やコンプレッサーなどの補機類を搭載していました。これは、14m級の車体では床下スペースが不足したためです。

車体

種車によって車体形状に差異が見られました。特に、デハ221の種車であるデハ2401と、クハ231の種車であるデハ2130は、過去に衝突事故で大破した際に復旧されており、以下の改造が施されていました。

乗務員室の全室化と乗務員扉の設置
運転台位置を中央から左へ移動
窓配置の変更

これらの改造により、窓配置や外観が異なっていました。また、前照灯は白熱灯2灯を並べたもので、幕板部には標識灯が新設されました。

客室内は、従来の車両と同様に木製の床とロングシートが採用されましたが、照明は蛍光灯化され、扇風機も装備されました。

主要機器

主電動機

京王線中型車の電装品は600V専用であったため、本形式では井の頭線の車両から発生した電装品に換装されました。主電動機は、日立製作所HS-267Dが採用されています。

制御器

制御器も井の頭線の車両で使用されていた、日立製作所MMC-H-200Bが採用されました。これにより、従来のHL式からAL式へと変更されました。

台車

台車は、デハ220形が日本車輛D-16A、クハ230形が川崎車輛製K-1または汽車会社製KS-3を装着していましたが、後にデハ220形はD-14に交換されました。

沿革

デハ221-クハ231は1963年7月末に、デハ222-クハ232は1964年3月末に竣工し、支線区での運用を開始しました。当初はライトグリーン一色でしたが、後にアイボリー色にえんじ色の帯を巻いた塗装に変更されました。

主に競馬場線や動物園線で使用されましたが、本線での代走運用や高尾線での応援運用に入ることもありました。

1969年10月からの京王線ATS運用開始に伴い、ATS搭載が困難であった本形式は同年9月に廃車となりました。廃車後、3両は解体されましたが、デハ222は復元され、京王れーるランドで静態保存されています。

編成表

デハ221 - クハ231
デハ222 - クハ232

参考文献

鈴木洋『【RM LIBRARY 111】京王線14ｍ車の時代』株式会社ネコ・パブリッシング、2008年
宮下洋一 編『鉄道車輌ガイド Vol.30 京王帝都のグリーン車』株式会社ネコ・パブリッシング、2019年
『鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション9 京王電鉄 1950-60』、鉄道図書刊行会、2005年

まとめ

京王220系電車は、昇圧という時代の変化に対応するために生まれた、特異な形態を持つ車両でした。短期間の活躍でしたが、その個性的な姿は鉄道ファンに強く印象付けられています。

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