京福電気鉄道ホデハ251形電車

京福電気鉄道モハ251形電車：戦後復興と技術革新の軌跡

1957年11月29日、京福電気鉄道福井支社の福井口車庫で発生した大火災は、同社の車両に大きな損害を与えました。この火災で焼損した電車の残骸から、新たな車両が誕生することになります。それが、モハ251形電車です。

誕生の背景と設計

モハ251形は、火災で焼失したホデハ11形2両とホデハ221形1両、そして被災を免れたホデハ103形の台車や機器を有効活用して製造されました。当時、京福電気鉄道では車両の鋼体化が進められており、モハ251形もその流れを汲む全金属車体を採用しました。この車体は、同時期に製造されたホデハ241形（後のモハ241形）と類似した日車標準車体と呼ばれる設計で、軽量かつ堅牢な構造が特徴でした。

車体デザインにおいては、奇数番号の車両（251号、253号）の福井駅側、偶数番号の車両（252号、254号）の京福大野駅・永平寺駅・三国港駅側に貫通扉が設置され、相互の連結運転を容易にしました。車内には乗客の快適性を考慮し、転換クロスシートが配置されていました。当初、電動機の仕様が車両によって異なっていたものの、1973年の改造で統一されました。また、台車についても、モハ254号は名古屋鉄道5000系で使用された試作型台車ND-101を元に設計されたND6型台車を装備するなど、様々な技術が盛り込まれていました。

運用と改造

1958年に4両が導入されたモハ251形は、その後長年にわたり京福電気鉄道福井支社で活躍しました。1988年には、モハ252号とモハ253号（当初の番号）がワンマン運転に対応するよう改造を受け、同時に車両番号の交換が行われています。この改造によって、ワンマン運転に対応しないモハ253号と254号は、1991年に廃車となりました。一方、改造された2両は、座席をロングシートに変更するなどの改良が加えられ、運用が継続されました。

運用末期には、モハ251号とモハ252号の2両体制となり、現役の日車標準車体を持つ車両としては最後の1形式となっていました。しかし、2000年12月17日、モハ251号がブレーキの故障により制動不能となり、モハ1101形と正面衝突するという悲劇的な事故を引き起こしてしまいます。この事故でモハ251号は大破し、廃車となりました。その後、京福電気鉄道福井支社の路線を引き継いだえちぜん鉄道にも継承されることなく、モハ251形電車の歴史に幕が閉じられました。

番号の変遷

モハ251形は、火災で焼損した車両からの部品流用という複雑な経緯を持つため、その番号の変遷も特筆すべき点です。以下に、機器流用元の車両を含めた番号の変遷を示します。

ホデハ15号 → ホデハ251号 → モハ251号 → モハ253号
ホデハ222号 → ホデハ252号 → モハ252号
ホデハ103号 → ホデハ253号 → モハ253号 → モハ251号
ホデハ17号 → ホデハ254号 → モハ254号

モハ251形電車は、戦後の復興期に製造され、長年にわたり地方路線で活躍した車両です。その歴史は、技術革新と事故という両面から、日本のローカル私鉄の歴史を語る上で貴重な資料となっています。

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