京福電気鉄道永平寺線

福井のローカル線、永平寺線の歴史と再生

かつて福井県に存在した永平寺線は、京福電気鉄道（現・福井鉄道）が運営していたローカル線です。福井県嶺北地方を横断し、金津駅（現在の芦原温泉駅）から永平寺駅までを結んでいました。全長24.6キロメートル、21もの駅を擁する路線でしたが、時代の変化とともにその歴史に幕を閉じ、現在は新たな姿で地域に貢献しています。

開業から廃止まで

永平寺線の歴史は1924年、永平寺鉄道の設立に始まります。翌1925年には永平寺駅（後の東古市駅、現在の永平寺口駅） - 永平寺門前駅（後の永平寺駅）間が開業。その後、段階的な延伸を経て、1929年に全線が開通しました。しかし、モータリゼーションの進展による利用客減少は避けられず、1969年には金津駅 - 東古市駅間が廃止されました。残りの東古市駅 - 永平寺駅間も、2001年に発生した越前本線での列車衝突事故の影響もあり、2002年に廃止。こうして、永平寺線は歴史の舞台から姿を消しました。

廃線後の活用：自動運転技術との融合

廃止された永平寺線の廃線跡は、その後、新たな役割を担うことになります。永平寺町は、廃線跡を遊歩道として整備し、「永平寺参ろーど」と名付けました。そして、2017年から2019年にかけて、パナソニックと産業技術総合研究所と共同で自動運転車の実証実験を実施。その成果を踏まえ、2020年12月22日には、日本で初めてとなるレベル3の自動運転車が「永平寺参ろーど」で運行を開始しました。愛称は「ZEN drive」。降雪にも対応するため、本格的な運行は2021年3月に開始されました。自動運転の対象区間は約2キロメートルですが、廃線跡の新たな活用は、地域活性化に大きく貢献しています。

運行状況と特徴

永平寺線は、全線単線で直流600V電化。最高速度は東古市駅 - 永平寺駅間で55km/hでした。運行本数は、廃止間際には1時間に1本程度。定期の速達列車はありませんでしたが、正月三が日やゴールデンウィークには臨時列車が運行されていました。全列車がワンマン運転となっていた時期もありました。

軌間、駅数、その他のデータ

路線距離は24.6キロメートル、軌間は1067mm、駅数は21駅でした。全線単線で、電化区間は全線に渡っていました。

写真資料と文献

金津駅から東古市駅までの17駅の写真は、現在も残されています。廃線に関する情報は、宮脇俊三の『鉄道廃線跡を歩く』や、和久田康雄の『私鉄史ハンドブック』などの文献に詳しい記述があります。また、京福電気鉄道の社史なども貴重な情報源となっています。

まとめ

永平寺線は、地域の交通を担ったローカル線として、そして、自動運転技術を実装した遊歩道として、その姿を変えながらも、人々の記憶と生活に深く関わってきました。その歴史と、廃線跡の再生は、地方鉄道の未来を考える上で重要な事例となっています。廃線となった路線が、新たな技術と融合し、観光資源や地域活性化に貢献するさまは、日本の地方における持続可能な発展モデルの一つとして注目に値します。廃線跡の活用は、単なる遊歩道整備にとどまらず、自動運転技術のテストベッドとしての役割も担っており、技術革新と地域活性化の両面から大きな意義を持つと言えるでしょう。

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