京都・大阪連続強盗殺人事件

京都・大阪連続強盗殺人事件

1984年9月4日、京都市北区の船岡山公園および大阪市都島区で発生した「京都・大阪連続強盗殺人事件」は、社会に衝撃を与えた事件である。この事件の犯人は元京都府警の警察官、廣田雅晴である。事件は、仮出所からわずか5日後に発生し、特に警察官から拳銃を奪って行われたことが特異な点であった。

事件の背景

廣田は1943年に生まれた後、1964年に京都府警に勤務を開始。彼は巡査部長として任務を果たしていたが、1978年に拳銃を盗んで強盗傷人を行ったために懲戒免職となり、7年間の刑に服していた。出所後、彼は復讐心に燃え、過去に自分を苦しめた警察官に対する怨念を抱いていた。

京都事件

1984年9月4日、廣田は船岡山公園で、勤務中の巡査Aを包丁で刺し、その後に奪った拳銃で致命的な銃撃を加えた。Aは警察官としての責務に忠実であり、その死は警察の士気を大きく揺るがした。

大阪事件

同日の数時間後、廣田はAから奪った拳銃を持って大阪市の消費者金融に押し入り、店員の男性Bを射殺。その後、現金約60万円を奪って逃走した。

捜査と逮捕

事件発生後、警察は全力を挙げて捜査を開始し、目撃証言や残された証拠から廣田の存在が浮かび上がった。9月5日、廣田は成東町の実家に電話をかけ、警察からの捜査をうかがう一方、実家周辺にいた捜査員たちにより逮捕された。逮捕された廣田は、自らの犯行を始め、数々の冤罪や取り調べの暴力を訴えた。

裁判

廣田は逮捕後、初公判において起訴事実を全面的に否認したが、確たる証拠により犯行を証明され、その後の裁判で死刑が求刑された。1988年10月25日、大阪地方裁判所は死刑判決を言い渡し、この判決は控訴審、上告審を経て1998年1月に確定した。

社会的影響

この事件は、元警察官による凶悪犯罪として社会的に大きな影響をもたらし、警察内部の問題や、不祥事が続く中での警察のあり方が問われることとなった。本事件は、警察官という社会的信頼を背負った立場の人間がどのようにして犯罪に手を染めるに至ったのかを示す重要な事例とされている。これは、警察に対する不信感を招き、さらなる社会問題を引き起こす契機となった。

結論

廣田雅晴の事件は単なる強盗殺人事件に留まらず、元警察官という立場から生じた凶悪犯罪が引き起こす社会的反響の大きさを物語っている。彼の復讐心に基づく一連の行動は、警察に対する信頼を破壊し、警察機構の在り方を問い直す一因となった。

もう一度検索