船岡山

船岡山：歴史と自然が織りなす京都の景勝地

京都府京都市北区に位置する船岡山は、標高111.7m、面積2万5000坪の小山です。古くから人々の生活と深く関わり、歴史と自然が融合した独特の景観を形成しています。

平安京と深く関わる歴史

船岡山は、平安京の中軸線である朱雀大路の真北に位置しています。そのため、平安京の造営において重要な役割を果たしたという説があります。具体的には、南北軸の測量基準点として利用されたという説や、頂上付近の露頭した岩が、造都以前から磐座として信仰されていたという説などが存在します。しかし、これらの説は学問的な裏付けが不足しており、俗説の域を出ないというのが現状です。

一方で、清少納言の『枕草子』や兼好法師の『徒然草』にもその名が記されており、古来より景勝地として知られていたことがわかります。『枕草子』では、思い浮かぶ岡の中で一番として船岡山の美しさが称えられています。また、『徒然草』では、都の代表的な葬送地として、船岡山が多くの送葬者で賑わっていた様子が描かれています。

さらに、四神相応説における玄武（北）に位置付けられるとする説も存在しますが、高さが低いため、この説については更なる検討が必要です。平安初期から葬送の地として利用されていた点を考慮すると、神聖な四神のひとつとする説は疑問視されます。

保元の乱（1156年）では、敗れた源為義とその子らが船岡山で処刑されました。応仁の乱（1467年）では、西軍の陣地となり、船岡山城が築かれました。このことから、船岡山を含む一帯は「西陣」と呼ばれるようになりました。織田信長の死後、豊臣秀秀は天正寺を建設する計画を立てましたが、石田三成の反対により頓挫しました。しかし、江戸時代を通じて、船岡山は信長の霊地として保護されました。

建勲神社と船岡山公園

明治時代には、織田信長を祀る建勲神社が東京から船岡山に移されました。これは、天正時代からの因縁を考慮した結果です。昭和6年（1931年）には、船岡山全体が風致地区に指定され、「船岡山公園」として整備されました。市民の憩いの場として親しまれていましたが、戦後の開発によって、その景観は変化しました。近年では、船岡山斜面への高層マンション建設計画も持ち上がりましたが、修正が行われました。

文化財としての指定とアクセス

船岡山全体は、国の史跡に指定されています（1968年）。また、京都の自然200選、風致地区にも指定され、地形や現状の変更が行われないよう保護されています。

アクセスは、京都市営地下鉄烏丸線北大路駅から京都市営バスで「船岡山」バス停または「建勲神社前」バス停で下車できます。

まとめ

船岡山は、平安京の造営から現代まで、歴史と人々の生活に深く関わってきた場所です。歴史的出来事の舞台となり、多くの文学作品にも登場するなど、文化的にも重要な意味を持つ場所となっています。自然豊かな環境と歴史的建造物が調和した、京都を代表する景勝地と言えるでしょう。今後も、その歴史と自然が大切に守られていくことが望まれます。

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