京都大学人文科学研究所

京都大学人文科学研究所の概要

京都大学人文科学研究所、通称「京大人文研」は1949年1月に設立された附置研究所であり、京都大学の一部として多様な文化研究を行っています。この研究所は、旧人文科学研究所、東方文化研究所、西洋文化研究所の3つの機関が統合され、発足しました。京大人文研は世界の文化に関する人文科学の総合研究を目指し、持続的な発展を追求しています。

沿革

前身機関の発足

京大人文研の起源は、1929年に設立された東方文化学院京都研究所に遡ります。この研究所は、義和団の乱による賠償金を資金に運営され、当初は京都大学の管理下になかったものの、1938年に東方文化研究所として再編されました。一方、1934年にはドイツ文化研究所、1939年には旧人文科学研究所が設立され、戦前から人文科学の研究基盤が築かれていました。

戦後の再出発

1945年の敗戦後、ドイツ文化研究所は西洋文化研究所に改称され、その後1946年に東方文化研究所と共に新しい人文科学研究所が設立されました。この新たな研究所は、日本部、東方部、西洋部の3つの部門から成り、各部門はさまざまな共同研究プロジェクトを推進しました。ここでは、日本の近代化や中国の文化、さらには西洋の思想など多岐にわたるテーマが研究されています。

1969年の事件と再編成

1969年、学園紛争に絡み人文科学研究所の研究室が家宅捜索を受ける事件があり、これにより研究所の運営に影響が及びました。これを契機に、2000年には研究部門の再編成が行われ、2研究部5部門体制が整えられました。こうして、人文学研究部と東方学研究部が設立され、さらに国際的な共同研究の枠組みも広がりました。

現在の活動

京大人文研は、現在も多様な研究活動を展開しており、附属研究施設として人文情報学創新センターや現代中国研究センターが設置されています。また、国際的な連携を強化するために、イタリアやフランスと共同で人文学国際研究センターも設立されました。さらに研究所は、学際的で複合的な研究の拠点として機能しており、2010年には共同利用・共同研究拠点としての活動を開始しました。

研究と教育

京大人文研では、アジアの人文科学の研究を基盤とした教育プログラムも実施しており、さまざまな文化や歴史に対する理解を深めるための努力を続けています。紀要としては、「人文学報」と「東方学報 京都」が発刊され、研究成果の発信にも貢献しています。

参考文献

• - 斎藤清明著『京大人文研』創隆社 1986年
• - 礪波護、藤井譲治編『京大東洋学の百年』京都大学学術出版会 ISBN 4876984395

このように京都大学人文科学研究所は、歴史的な経緯と国際的な視点を持つ研究機関として、人文科学の発展に寄与し続けています。

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