京都府立丹後郷土資料館

京都府宮津市にある京都府立丹後郷土資料館は、「ふるさとミュージアム丹後」の愛称で親しまれている博物館です。丹後地方の歴史、考古、民俗という3つの分野に焦点を当て、調査研究、資料の収集・保存、そして展示活動を行っています。この資料館は、かつて丹後国分寺があった場所に建てられており、その名残として、玄関前には金堂や五重塔の基壇、礎石が残されています。また、敷地からは日本三景の一つである天橋立を一望できる絶好のロケーションも魅力です。

歴史

資料館は1970年（昭和45年）に開館しました。開館当初から、丹後地方の出土品を展示する特別展を開催するなど、地域の歴史と文化を紹介する拠点としての役割を果たしてきました。開館から10ヶ月で約1万人の入館者があり、地域の子どもたちの社会科見学の場としても活用されてきました。

1980年代には、丹後地方の伝統的な織物である藤布に関する記録をまとめ、その技術を継承する取り組みを支援しました。また、丹後地方の紡織習俗に関する調査を行い、その成果として、多くの資料が国の重要有形民俗文化財に指定されました。1995年には、京丹後市にあった旧永島家住宅を敷地内に移築し、展示だけでなく体験教室の場としても活用しています。

2012年には博物館法に基づく博物館として登録され、2015年には展示内容をリニューアル。古代の「丹後王国」、中世の「天橋立周辺の寺社」、近世の「北前船」という3つのテーマに焦点を当てた常設展示が始まりました。また、近年では、漁撈用具や古文書など、地域の歴史を物語る資料の収集にも力を入れています。

開館50周年を迎えた2020年には、収蔵庫が飽和状態になるなど、新たな課題も生まれています。資料館は、これらの課題に対応するため、現在、全面リニューアル計画を進めています。

展示

資料館の所蔵品は約11万点に及び、その中には国宝や重要文化財も含まれます。常設展では、丹後地方の歴史と文化をテーマに、縄文時代から近世までの幅広い時代の資料を展示しています。また、年4回程度、特別企画展やミニ企画展も開催しており、時期ごとに異なるテーマで地域の魅力を発信しています。例えば、過去には「観光時代到来近代天橋立観光」と題して、戦前の観光土産として作られた人形を公開したり、雪舟筆の国宝「天橋立図」を展示したりしました。

常設展の主な内容

- 考古：縄文時代から古墳時代までの土器や石器、装飾品などを展示。
- 歴史：中世・近世の美術工芸品や歴史資料、古文書などを展示。
- 民俗：丹後の漁業、廻船業、織物業に関する資料を展示。伝統的な漁船、織機、生活用具など、地域の文化を体感できます。

施設

本館は鉄筋コンクリート造2階建てで、展示室のほか、収蔵庫、研修室、資料室を備えています。建物は正倉院の校倉造をベースに設計され、文化財を保護するため窓が少ないのが特徴です。

旧永島家住宅

敷地内には、江戸時代に建てられた農家の母屋である旧永島家住宅も移築されています。ここでは、昔の暮らしを再現した展示を見学できるほか、紙すきなどの伝統工芸を体験できるワークショップも開催されています。旧永島家住宅は、丹後地方の民家の特徴を伝える貴重な文化財です。

利用案内

- 開館時間：午前9時～午後4時30分
- 休館日：毎週月曜日（祝日の場合は開館し、直後の平日休館）、年末年始（12月28日～1月4日）
- 入館料：普通展示：一般200円、小中学生50円。特別展示：一般250円、小中学生70円

資料館では、文化講演会や古文書講習会などの研修・ワークショップも開催されています。詳細は公式サイトをご確認ください。

アクセス

- 公共交通機関：京都丹後鉄道宮豊線天橋立駅または岩滝口駅から丹海バスで「丹後郷土資料館」バス停下車後すぐ。
- 自動車：京都丹後鉄道宮豊線天橋立駅から車で15分。京都縦貫自動車道与謝天橋立インターチェンジから車で10分。

京都府立丹後郷土資料館は、丹後地方の豊かな歴史と文化を学ぶことができる貴重な場所です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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