京都府道・滋賀県道783号宇治田原大石東線

京都府道・滋賀県道783号宇治田原大石東線：歴史と交通の要衝

古くから宇治田原越として知られる京都府道・滋賀県道783号宇治田原大石東線は、京都府綴喜郡宇治田原町から滋賀県大津市を結ぶ、全長約6kmの府県道です。この道は、単なる交通路としてだけでなく、歴史的にも重要な役割を担ってきた道であり、現代においても地域社会を支える重要なインフラとして機能しています。

歴史を刻む道

764年（天平宝字8年）、藤原仲麻呂の乱の際、孝謙上皇が「田原道」を通過したという記録が『続日本紀』に残されています。この「田原道」の一部が、現在の宇治田原大石東線とほぼ重なると考えられています。その後、時代を経て、この道は宇治田原越として人々の往来を支え続けてきました。

大正時代には、京都府では府道宇治大津線の一部、滋賀県では県道宇治道として整備され、昭和33年には滋賀県が一般県道107号宇治田原大石東線、昭和34年には京都府が一般府道93号宇治田原大石東線を認定しました。昭和39年には信楽川に架かる宮前橋が完成し、終点付近の鹿跳橋と同時期に竣工しています。その後、昭和40年から44年にかけて、禅定寺峠から大石東町間の改修・拡幅・舗装工事が行われ、交通の利便性が向上しました。平成6年から平成21年までは、京都府道783号、滋賀県道782号として管理されていましたが、その後、番号が統一されました。

交通量の多い主要道路

現在、宇治田原大石東線は、京都市内の混雑を避けるルートとして、大型トラックなど多くの車両が通行する重要な路線となっています。かつては帝産バスや京阪宇治バスも運行していました。

起点となるのは京都府綴喜郡宇治田原町岩山の国道307号交点です。そこから禅定寺川沿いに進み、禅定寺峠を越え、京都府と滋賀県の県境に至ります。滋賀県大津市に入ると、大津市最南端の集落である大石小田原町に向かい、大石龍門町、大石市民センター前を経由して宮前橋を渡り、信楽川を渡ります。終点は滋賀県道29号瀬田大石東線付近の鹿跳橋付近となります。

未来への発展

近年、宇治田原町では新名神高速道路の建設が進められており、そのアクセス道路として宇治田原大石東線の拡幅改良工事が行われています。新名神大津スマートインターチェンジ（仮称）の設置も予定されており、この路線の重要性はますます高まっています。

沿線情報

宇治田原大石東線沿いには、歴史的建造物や観光地、公共施設などが多く存在します。建藤神社、禅定寺、猿丸神社、本安寺、叶 匠壽庵、大津大石郵便局、大津市役所大石市民センター（大津市役所大石支所）、佐久奈度神社、大津市立大石小学校など、地域住民の生活と密着した施設が沿線に点在しています。

まとめ

京都府道・滋賀県道783号宇治田原大石東線は、歴史と現代が交差する、交通の要衝と言えるでしょう。古くからの道筋を踏襲しながらも、現代の交通事情に対応した整備が進められ、今後も地域社会の発展に大きく貢献していくことが期待されます。

もう一度検索