京都議定書目標達成計画

京都議定書目標達成計画

京都議定書目標達成計画は、日本が京都議定書において課せられた温室効果ガス6%削減の義務を果たすために策定された国家的な計画です。この計画は、1990年を基準年とし、温室効果ガスの種類ごとに削減目標を設定し、具体的な対策と施策を提示しました。また、森林による吸収源の確保や、排出量取引、技術供与といった国際的な協力も活用し、目標達成を目指しました。

計画策定の背景

1990年代、地球温暖化問題への関心が高まる中、日本は国際的な枠組みの中で温室効果ガス削減に取り組む必要に迫られました。その過程で、以下のような重要な動きがありました。

1990年: 地球温暖化防止行動計画が策定され、温暖化対策の基本的な方針が示されました。
1997年: 京都議定書が採択され、温室効果ガス削減の国際的な枠組みが形成されました。日本は、この議定書に基づき、温室効果ガス排出量を1990年比で6%削減する義務を負うことになりました。
1997年: 首相官邸に地球温暖化対策推進本部が設置され、国内における温暖化対策の推進体制が整備されました。
1998年: 地球温暖化対策の推進に関する法律が制定され、国、地方公共団体、事業者、国民の責務が明確化されました。また、地球温暖化対策推進大綱が策定され、緊急に取り組むべき対策がまとめられました。
2002年: 京都議定書の締結に向けて、地球温暖化対策の推進に関する法律が改正され、国内体制が整備されました。この改正では、京都議定書が発効した際に京都議定書目標達成計画を策定することが盛り込まれました。
2005年: 京都議定書が発効し、日本は温室効果ガス削減義務を負うことになりました。同年、京都議定書目標達成計画が閣議決定され、具体的な削減目標と対策が示されました。

計画の基本方針

京都議定書目標達成計画は、京都議定書で定められた6%削減約束を確実に達成することを基本方針としていました。そのために、以下の6つの基本的考え方が示されました。

1. エネルギー消費に伴う二酸化炭素排出量の削減
2. 非エネルギー起源二酸化炭素排出量の削減
3. メタン、亜酸化窒素の排出抑制
4. 代替フロンの排出抑制
5. 森林による吸収源の確保
6. 排出量取引、技術供与による削減

目標値

各温室効果ガスごとに具体的な削減目標が設定されました。基準年は1990年度（代替フロンについては1995年）とし、二酸化炭素以外の排出量については、地球温暖化係数に基づき二酸化炭素換算で目標値が示されました。以下に主な目標値を示します（（）内は2010年時点の排出量目標値、単位はCO2百万トン換算）。

エネルギー起源二酸化炭素: +1.3~2.3% (1,076~1,089)
非エネルギー起源二酸化炭素: -0.0% (85)
メタン: -0.9% (23)
亜酸化窒素: -0.6% (25)
代替フロン: -1.6% (31)
森林吸収源: -3.8% (-48)
排出量取引等: -1.6% (-20)

対策と施策

計画では、国、地方公共団体、事業者、国民それぞれの役割が規定され、地球温暖化対策と施策が提示されました。主な対策は以下の通りです。

省エネルギーの推進: 省エネ法の実施を通じ、エネルギー消費に伴う二酸化炭素排出量を削減します。
工業プロセスにおける排出削減: セメント製造などの工業プロセスから排出される二酸化炭素を、混合セメントの利用などで削減します。
廃棄物処理の改善: 廃棄物や下水汚泥からのメタンや亜酸化窒素の排出を抑制するため、処理方法の変更や排出抑制技術の導入を進めます。
代替フロンの管理: 冷媒用途で利用される代替フロンの排出を抑制するため、産業界が自主的な取り組みを進めます。
森林の適切な管理: 森林の成長による二酸化炭素の固定効果を最大限に引き出すため、適切な森林施業を行います。
京都メカニズムの活用: 排出量取引やクリーン開発メカニズムなどの京都メカニズムを活用し、削減目標の達成を目指します。

計画のその後

2012年に地球温暖化対策の推進に関する法律が改正され、2013年以降の温暖化対策に関する計画は「地球温暖化対策計画」と呼称されるようになりました。この改正により、京都議定書目標達成計画は、新たな枠組みの下で実施されることになりました。

関連情報

関連法律: 地球温暖化対策の推進に関する法律
関連組織: 地球温暖化対策推進本部
関連キーワード: 京都議定書、チーム・マイナス6%

参考文献

* 『京都議定書目標達成計画』地球温暖化対策推進本部


この計画は、日本の温室効果ガス削減に向けた取り組みの重要な一歩であり、その後の温暖化対策の基礎となりました。

もう一度検索