京阪50型電車

京阪50型電車の歴史と特徴

京阪50型電車は、1930年代に日本の京津線で運行された路面電車の一形式です。この電車は、1932年から1934年にかけて製造され、特にそのデザインや技術が当時の鉄道の進化を象徴するものでした。

製造とデザイン

初めて登場したのは1932年7月のことです。最初のモデルである51号が大阪鉄工所で製造され、続いて52号から54号が田中車輛で製造されました。そして1933年2月には外観を一新した2次車の55号から58号が完成しました。これらの電車は、逢坂山トンネルや急なカーブに対応できるように設計されており、全体的に幅を狭めたデザインが特徴的でした。

1次車は濃緑色の単色塗装でしたが、2次車は上半分がクリーム色、下半分がコバルトブルーという華やかな色合いで仕上げられ、京阪線の他の車両と同様のデザインを持っていました。1次車も後に塗装を変更し、最終的にはすべての車両が統一されたデザインとなりました。

技術的な特徴

京阪50型電車の技術面では、特に電動機に関する革新が見られます。1次車は直流直巻電動機を用いており、発電制動の機能も搭載していました。一方、2次車の55号と56号は日本初の直流複巻電動機を採用しており、回生制動を兼ね備えていました。しかし、この回生制動は当時の技術では下り勾配での減速時にしか利用できず、運転の柔軟性には限界がありました。

運行と活躍

京津線での運行は1934年4月から始まり、急行用に設定された経路では三条大橋駅から浜大津駅間をわずか21分で結ぶ速さを誇りました。この迅速な運行は多くの利用者に重宝されました。

しかし、1949年の火災により、四宮車庫に置かれていた全8両が被災し、壊滅的な損傷を受けました。中でも、52号と54号は軽微な損傷に留まり、後に修復されて復旧されました。これらの車両は1950年4月に復帰し、その後も京津線での運用に供されたものの、1968年には80型電車の導入に伴い、運用を終了しました。

主要諸元

復旧後の主要な諸元は次のとおりです。長さは12,200mm、幅は2,326mm、高さは4,000mmで、重量は23.00tでした。定員は70人で、そのうち34人が座った状態で利用できました。また、主電動機は63.4kWを2基搭載しており、駆動方式は吊掛式でした。ギア比は59:20で設計されていました。

まとめ

京阪50型電車は、当時の交通インフラに新しい風を吹き込んだ車両であり、そのユニークなデザインと技術は今日の鉄道にも影響を与えています。その歴史は50型電車の魅力を今なお伝えています。

もう一度検索