京須行男

京須行男：戦火を潜り抜け、将棋界に貢献した棋士

京須行男（きょうす ゆきお）は、1914年（大正3年）1月23日、千葉県一宮町に生まれ、1960年（昭和35年）5月2日、46歳の若さでこの世を去った昭和期の将棋棋士です。八段の称号は、彼の死後に贈られました。

宮松関三郎八段に師事し、1938年に入門。1943年には四段に昇段し、プロ棋士としての道を歩み始めます。戦時中は兵役の経験を持ち、胸に銃創を負うなど、過酷な状況を乗り越えて帰還したという逸話も残されています。

戦後、1946年には順位戦C級クラスに参加。その後、B級へ昇級を果たすなど、棋士として着実に実力をつけ、活躍しました。しかしながら、病魔に侵され、1960年の第14期順位戦を最後に引退を余儀なくされます。そして同年5月、癌性肋膜炎のため、惜しまれつつもその生涯を閉じました。

京須行男は、棋士としての活動だけでなく、指導者としても将棋界に貢献しました。三軒茶屋の将棋道場で後進の指導にあたり、多くの棋士育成に尽力しました。彼の没後も、弟子である山田道美が道場の運営を引き継ぎ、その発展に貢献したと言われています。

山田道美は、当初金子金五郎門下でしたが、1950年に上京後、京須行男の道場に指導を受け、実力を伸ばしました。京須行男の紹介で同年に奨励会入りを果たし、後にプロ棋士として活躍することになります。このエピソードからも、京須行男が後進の育成に熱心に取り組んでいたことが分かります。

さらに注目すべきは、彼の孫が、のちに将棋界の十八世名人資格者となる森内俊之であることです。京須行男の血を受け継いだ森内俊之は、日本将棋界を代表する棋士として活躍し、祖父の意志を継ぐように、将棋界に大きな足跡を残しています。

京須行男は、短い生涯ながらも、戦火をくぐり抜け、将棋界に多大な貢献を果たした棋士でした。その功績は、彼の死後も、弟子や孫を通して、将棋界に受け継がれています。彼の名は、これからも将棋史に刻まれ続けることでしょう。

昇段履歴

1938年：入門
1943年：四段
1947年5月10日：五段（順位戦C級下位）
1948年4月1日：七段（順位戦B級昇級）
1960年：引退
1960年5月2日：死去
1973年11月3日：八段（追贈）

関連事項

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* 森内俊之

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