亮天社

亮天社（りょうてんしゃ）

亮天社は、1875年（明治8年）から1903年（明治36年）までの28年間、現在の宮崎県延岡市に存在した私立中学校です。この学校は、当時の宮崎県内において唯一の私立中学校であり、地域における中等教育の重要な担い手でした。

沿革

1872年（明治5年）の学制発布により、旧延岡藩の藩校であった廣業館が104年の歴史に幕を閉じました。しかし、教育に対する熱意を持った延岡の人々は、その翌年である1873年（明治6年）に、原時行らの尽力によって廣業館の跡地（現在の延岡市立岡富中学校の場所）に私立中学校「延岡社学」を創立しました。

1875年（明治8年）には、「延岡社学」は「亮天社」と改称され、1903年（明治36年）に県立延岡中学校（現在の延岡高等学校）が設立されるまでの約30年間、宮崎県内唯一の私立中学校として、地域社会に貢献する多くの中核人材を育成しました。また、1889年（明治22年）に宮崎県立尋常中学校（現在の宮崎大宮高等学校）が開校するまでの16年間は、宮崎県内において唯一の中学校でした。

亮天社は、旧藩主であった内藤政挙が社主を務め、内藤家が教職員の給与はもちろん、生徒の月謝を無料とし、教科書も無償で貸与するなど、設立から運営まで全ての財政を担いました。内藤政挙が慶應義塾で学んだ経験から、福澤諭吉とのつながりもあり、亮天社の卒業生は無試験で慶應義塾への入学が許可されていました。このことは、当時としては非常に恵まれた教育環境であったと言えるでしょう。

1876年（明治9年）には、小林乾一郎の提唱により、亮天社の附属として女児教舎が設立されました。これも内藤家の経営により、生徒は月謝が不要で、教科書も無償で提供されました。その後、1901年（明治34年）には私立延岡女学校（当初4年制、後に5年制）、1906年（明治39年）には延岡高等女学校となり、1929年（昭和4年）には県立（4年制）へと移管されました。

亮天社は、1903年（明治36年）に県立延岡中学校（現在の延岡高等学校）の設立に伴い廃校となりましたが、その敷地や建物は、延岡高等女学校に引き継がれました。

参考文献

『延岡亮天社の概況と周辺』(亮天社出版委員会、1986年)

関連項目

内藤家
旧制中学校

外部リンク

宮崎県「亮天社」｜慶應義塾大学 通信教育課程

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