人形の家 (弘田三枝子の曲)

人形の家

「人形の家」は、歌手・弘田三枝子によって1969年7月1日にシングルとして発表された楽曲です。規格品番はP-65でした。

制作背景とリリース

この楽曲は、作詞をなかにし礼、作曲・編曲を川口真が手がけました。シングル盤には、同作詞・作曲・編曲コンビによる「あなたがいなくても」がカップリング曲として収録されています。発売当時のジャケットでは、「作詞」が「作詩」と表記されていました。

大ヒットと評価

発表後、「人形の家」は大きな反響を呼び、ミリオンセラーを達成する記録的なヒットとなりました。オリコンチャートでは57.1万枚の売上を記録し、累計では100万枚を突破。この成功は、弘田三枝子にとって、1967年以来となる2年ぶりのNHK紅白歌合戦出場（第20回）という形で結実しました。また、楽曲とその歌唱は高く評価され、第11回日本レコード大賞においては歌唱賞を受賞しています。

関連作品

翌年の1970年に発売された弘田三枝子のアルバム『弘田三枝子'70 ポピュラー・ビッグ・ヒッツ!』には、「Ballade of Doll's House」という英題で、H・ダーナンによる英訳詞を用いた英語バージョンが収録されています。また、後に発売されたベストアルバムやコンピレーション盤にも多数収録されており、「エッセンシャル・ベスト」や「ドーナツ盤メモリー 弘田三枝子」といったアルバムで聴くことができます。「ドーナツ盤メモリー 弘田三枝子」には、本楽曲のカラオケバージョンも収められています。カップリングの「あなたがいなくても」も同様に「ドーナツ盤メモリー 弘田三枝子」に収録されています。

後世への影響とカバー

「人形の家」は、発表から長い年月を経た現在も、多くのアーティストによってカバーされ続けている日本のスタンダードナンバーの一つです。多岐にわたるジャンルの歌手やグループが、それぞれの解釈でこの楽曲を歌い継いでいます。主なカバーアーティスト（五十音順）としては、麻丘めぐみ、アサヒ（Little Glee Monster）、彩輝なお（宝塚歌劇団OG）、市川由紀乃、内田あかり、クミコ、桑田佳祐、桂銀淑、徳永英明、西田あい、氷川きよし、Lil' Fang（FAKY）、三山ひろし、吉井和哉などが挙げられます。特にLil' Fangによるカバーは、テレビドラマ『リカ〜リバース〜』や映画『リカ〜自称28歳の純愛モンスター〜』の挿入歌としても使用され、新たな世代にも届けられました。

メディアでの言及

この楽曲は、当時の世相を反映する一曲として、漫画やテレビ番組といった様々なメディアでも取り上げられました。例えば、長谷川町子原作の国民的漫画『サザエさん』のアニメ版では、1969年12月14日放送回「年の暮れご用心」の中で楽曲が流れるシーンがあります。また、円谷プロダクション制作の子供向け番組『チビラくん』の第25話や、赤塚不二夫のギャグ漫画『天才バカボン』の原作では射田巡査が歌う場面が登場。さらに、さいとう・たかをの特撮ヒーロー漫画『バロム・1』の原作では、松五郎おじさんが口ずさむ描写が見られます。

関連事項

「人形の家」は、その年の音楽シーンを代表する一曲として記憶されており、1969年の音楽を語る上で欠かせない楽曲の一つです。また、フジテレビの歌番組『夜のヒットスタジオ』に弘田三枝子が初めて出演した際に披露したのも、この楽曲でした。後年に制作された音楽番組や企画、『そう言えば あの時このうた』のような番組でも、1969年の邦楽を代表する楽曲としてセレクトされることがあります。そのメロディと歌詞は、発表から半世紀以上を経ても多くの人々に親しまれ、日本のポピュラー音楽史に確固たる地位を築いています。

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