人質の朗読会
人質の朗読会
『人質の朗読会』は、著者である小川洋子による日本の小説で、2008年9月から2010年9月の間に年4回、中央公論に連載されました。この作品は、本屋大賞にノミネートされ、最終的に5位にランクインするなど、多くの読者に支持されました。また、彫刻家である土屋仁応の作品「子鹿」が表紙飾っています。
2014年には中公文庫として書籍化され、さらに同年にWOWOWのドラマWスペシャルとしてテレビドラマ化されました。ドラマでは、主演を務めた佐藤隆太が解説を担当しています。
本作の背景
著者の小川洋子は、アメリカの作家ポール・オースターが行ったラジオ番組『ナショナル・プロジェクト・ストーリー』を通じて、一般の人々から集めた実体験に感動し、小説の新たな可能性に気づきました。それが、本作『人質の朗読会』を書くきっかけとなっています。小川は、普通の人が持つ物語こそがは本来の小説の姿であると感じ、この作品を通じてフィクションの形で表現しようとしました。
あらすじ
物語は、南米の村で日本人7人とその添乗員が乗るマイクロバスが、遺跡観光を終えた帰路に反政府ゲリラに襲われるところから始まります。彼らは人質となり、巨額の身代金と仲間の釈放を要求されることになります。発生当初は大きなニュースとなりますが、次第に人々の関心は薄れ、詳細な報道が行われなくなっていきます。
事件から100日が経過すると、特殊部隊がアジトに突入するも、緊迫した銃撃戦の結果、犯人たちが全員死亡し、人質も命を落とすという悲惨な結末を迎えます。この出来事は、事件を遠くで見ていた世間に衝撃を与え、忘れかけていた報道が再び注目を集めるきっかけとなります。
さらに2年後、国際赤十字が届けた救急箱の中に仕掛けられていた盗聴器から、人質たちが録音したテープが発見されます。このテープには、人質8人がそれぞれの思い出を物語として語る声が収められていました。これを受けて、ラジオ局の記者は遺族たちの許可を得て、それを朗読するプログラム『人質の朗読会』を放送することになります。
構成
『人質の朗読会』は以下のように構成されています。
- - 第一夜 杖
- - 第二夜 やまびこビスケット
- - 第三夜 B談話室
- - 第四夜 冬眠中のヤマネ
- - 第五夜 コンソメスープ名人
- - 第六夜 槍投げの青年
- - 第七夜 死んだおばあさん
- - 第八夜 花束
- - 第九夜 ハキリアリ
テレビドラマ
2014年3月8日には、WOWOWにて『ドラマWスペシャル』として放送されました。キャッチコピーは「彼らが遺したものは、『声』だった。」であり、ドラマ版では人質の人数が6名に変更されています。ドラマは第4回衛星放送協会オリジナル番組アワードにて最優秀賞を受賞し、第55回モンテカルロ・テレビ祭ではモナコ赤十字賞とSIGNIS賞も受賞しました。
キャスト
主要キャストには、以下の出演者が名を連ねています。
この作品は、人間が持つ記憶や思い出の重みを強く感じさせる感動的な内容となっています。
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