仁保橋 (広島市)

仁保橋：広島の街と発展を繋ぐ歴史ある橋

広島市南区、猿猴川に架かる仁保橋は、広島の街の発展を象徴する橋の一つです。全長408mのその姿は、単なる交通路としてだけでなく、地域の変遷と人々の生活を映し出す歴史の証人でもあります。

仁保橋の概要

仁保橋は、広島県道187号浜田仁保線に属する道路橋で、東岸の青崎と西岸の仁保地区を繋いでいます。橋の名前の由来にもなっている仁保地区は、この橋の建設によって大きく発展を遂げることになります。橋の構造は、鋼鈑桁橋とプレストレスト・コンクリート桁橋を組み合わせたもので、全幅15mの道路幅員を確保しています。東詰は広島県道164号広島海田線との分岐点付近に位置し、マツダ本社工場の上を通過、西詰は国道2号線（仁保交差点）に接続しています。

上流には広島高速2号線、下流には国道2号線が通る黄金橋が位置し、交通の要衝であることがわかります。将来計画として、仁保橋の東詰から県道164号・山陽本線を越え、府中南公民館へと至る道路の建設も予定されていますが、完成時期は未定です。

歴史と周辺環境

仁保橋が架設された1964年以前、猿猴川には東雲から大州への東大橋より下流に橋はなく、住民は渡し船や干潮時の徒歩通行に頼っていました。仁保橋は仁保地区と対岸の向洋地区を結ぶ最初の橋となり、地域住民の生活に大きな変化をもたらしました。

特に、1966年12月7日の新広島バイパス（国道2号線）開通は、仁保橋の重要性を高めました。翌年7月の黄金橋架設まで、国道2号線は仁保橋を通過していたのです。

バイパス開通以前、仁保や東雲周辺は蓮田やネギ畑が広がる半農村地帯でしたが、仁保橋とバイパスの完成後、急速な市街化が進み、現在のような近郊住宅地へと変貌を遂げました。この変化は、仁保橋が地域発展に果たした役割の大きさを物語っています。

周辺施設

仁保橋周辺には、マツダ関連施設が多く集積しています。マツダアステック工場、マツダ本社工場、マツダE&T本社などが近隣に位置し、企業活動と地域社会の繋がりを象徴する存在となっています。その他、淵崎公園、JR向洋駅、東雲屋内プールなど、地域住民の生活を支える施設も充実しています。

仁保橋の意義

仁保橋は、単なる道路橋としてだけでなく、地域の交通インフラを支え、地域社会の発展を促し、人々の生活に深く関わってきた歴史を持つ重要な構造物です。その存在は、広島市の発展の歴史そのものを語る上で欠かせないものと言えるでしょう。将来計画も含め、今後も仁保橋は地域社会の重要な役割を担い続けることでしょう。

参考文献

* 四国五郎 『広島百橋』春陽社出版、1975年

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