仁海

仁海（にんがい）は、平安時代中期に活躍した真言宗の僧侶で、天暦5年（951年）に生まれ、永承元年5月16日（1046年6月22日）に96歳で亡くなりました。俗姓は宮道氏で、父は宮道惟平です。和泉国（現在の大阪府南部）の出身で、小野僧正、雨僧正、雨海僧正とも呼ばれています。

生涯

仁海は、高野山の雅真（がしん）に師事して出家し、その後、石山寺の元杲（がんごう）から灌頂を受けました。弘法大師（空海）から数えて8代目の弟子にあたります。正暦2年（991年）には、山科小野（現在の京都市山科区）に牛皮山曼荼羅寺（後の随心院）を建立し、真言宗小野流の開祖となりました。

寛仁2年（1018年）には、雨乞いの祈祷（祈雨法）を行い、その霊験によって権律師に任じられました。宮中の信頼も厚く、神泉苑（現在の京都市中京区）で9回にわたり祈雨法を修し、その度に雨を降らせたと伝えられています。その功績から、雨僧正と呼ばれるようになりました。仁海の評判は、遠く中国の宋にまで伝わったと言われています。

その間、東大寺の別当、東寺の長者法務を歴任し、僧正にまで昇りつめました。晩年には、天皇から輦車（てぐるま）の使用を許される宣旨を賜りました。

また、真言宗の各宗派で読誦される「胎蔵界礼懺」の撰者としても知られています。

関連事項

真言宗小野流：仁海が開いた真言宗の一派。随心院を総本山とする。
随心院：京都市山科区にある寺院。仁海が創建した牛皮山曼荼羅寺が前身。
祈雨法：雨乞いのために行われる密教の修法。仁海は特にこの法に長けていたと伝えられる。
胎蔵界礼懺：真言宗の儀式で読誦される礼懺文。仁海が撰述したとされている。

もう一度検索