仁祖反正

仁祖反正（インジョバンジョン）

仁祖反正とは、朝鮮王朝において1623年に発生した重大なクーデター事件である。この事件は、光海君が廃位され、代わりに綾陽君李倧が仁祖として即位することをもたらした。

背景

仁祖反正が発生する直前、光海君は朋党政治の弊害を強く認識していた。彼は、官僚同士の派閥争いが政権に悪影響を及ぼすことを懸念し、自らの王権を強化するために絶対的な権力を志向していた。光海君は、一流の学者である李元翼、李恒福、李德馨を登用し、明と後金との紛争に対しては中立的な立場を取る政策を推進した。

しかし、光海君の施策が進む中、政権の中心にいた北人勢力の李爾瞻や鄭仁弘は暗躍し、光海君の兄弟である永昌大君や臨海君を排除するための陰謀を巡らせた。さらに、光海君の継母である仁穆王后は慶運宮に幽閉される事態に至った。これらの動きは王権の安定に深刻な影響を与え、さらには文禄・慶長の役による宮廷の焼亡も、経済的な負担を王朝にもたらすこととなった。

経過

1623年4月11日、西人派によるクーデターが遂行され、光海君は江華島へ配流されることになった。彼の側近の中で特に重要な役割を果たしていた李爾瞻や金介屎は、反逆者として斬首刑にされ、光海君の支持基盤は一掃された。この結果、仁祖が即位し、新たな政権が樹立された。

また、光海君によって長らく幽閉されていた仁穆王后とその娘である貞明公主もこの事件を契機に解放され、政治的な環境は大きく変わることとなった。仁祖反正は、王朝内部の権力闘争が表面化した結果であり、朝鮮王朝の政治史の中で重要な転換点となった。

結果

仁祖の即位は、王権の再編成に寄与した一方で、光海君の趣旨と志が否定されたことで、当時の政治的対立が固定化されることにもつながった。仁祖反正によって新たに樹立された政権は、従来の朋党政治の呪縛を打破することが求められる時代に突入し、次第に異なる派閥の力が増していくことになる。このようにして仁祖反正は、朝鮮王朝における政治の流動性と派閥間の対立を深刻化させる一因となった。

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