仁科盛房

仁科 盛房（にしな もりふさ）

仁科盛房は、南北朝時代から室町時代にかけて信濃国で活躍した国人領主です。彼は安曇郡の有力豪族、仁科家の当主であり、特に大塔合戦での中心的な役割がよく知られています。この物語は、彼の出身や活躍、そして影響を受けた地域について詳しく探ります。

仁科氏と安曇郡の背景

仁科氏は奈良時代までさかのぼる古い家系で、安曇郡（現在の長野県安曇野市、大町市、北安曇郡）に長い歴史を持ちながら勢力を拡大してきました。彼らの統治範囲は広く、地域において大きな影響力を持つ豪族として知られていました。仁科家の当主として、盛房は信濃国の政治や軍事において重要な役割を果たしました。

大塔合戦

応永7年（1400年）、信濃国では小笠原長秀率いる守護勢と国人衆との間で大塔合戦が勃発しました。この合戦で盛房は「大文字一揆衆」を結成し、守護に対抗することになります。彼を含む国人の一部が小笠原との和睦を試みる中、盛房と村上氏らは小笠原を「古敵」と見なして和睦を拒否しました。

守護軍は塩崎城に向かう途中、仁科の軍勢に攻撃され、多くが取り残される事態に陥ります。盛房は子の盛光と共に、国人衆をまとめ上げて城を包囲し、守護勢との接触を図りました。盛房の配下には中条氏も参加しており、彼の影響力は中条村あたりにまで及んでいたと考えられています。

軍事的な活躍

「大塔物語」によれば、盛房は出撃してきた坂西長国との一騎打ちを展開したとされています。この話が真実かどうかは疑問ですが、盛房が国人衆の中心人物であったことは間違いないでしょう。彼はその後、長国に対して大軍を進め、10月18日には守護軍三百余騎を討ち取るという大勝を収めました。この勝利は彼の名声を高める大きな要因となったでしょう。

仁科氏のその後

合戦後、信濃国は大小の国人勢力同士の連携や闘争により、乱れた状態が続きました。仁科氏も影響を受け、穂高地方や筑摩郡北部に頻繁に進出し続けました。そして、後の武田晴信による信濃平定のまで、仁科家は安曇郡一帯での勢力を維持していきました。彼の活動は後の歴史にも大きな影響を及ぼしました。

参考文献

• - 『大町市史 第2巻 原始・古代・中世』
• - 『長野県史 通史編 第3巻 中世2』

もう一度検索