塩崎城

塩崎城について

塩崎城は、長野県長野市篠ノ井塩崎に所在した山城です。善光寺平の南端、千曲川の西岸に位置し、対岸の屋代城とともに、この地域の軍事的な要衝を担っていました。

歴史

築城年代は明らかではありませんが、1335年の中先代の乱の際、この地の支配者であった四宮氏が滅ぼされた後、小笠原貞宗がその一族である赤沢氏に命じて築かせたとされています。これは、四宮荘や船山守護所を警備するためのものでした。

1400年の大塔合戦で守護の小笠原長秀が京都に逃れた後も、赤沢氏はこの地に留まり、村上満信の支配下に入ります。その後、1436年に小笠原政康が村上頼清を排除し、赤沢氏は小笠原氏宗家の勢力下で再び力を得ます。赤沢氏は、庶流の桑原氏に小坂城を築かせ、稲荷山・桑原方面を任せました。しかし、1446年の漆田原の戦いなど、小笠原氏宗家の内紛に巻き込まれ、赤沢氏は衰退。これに乗じて桑原氏が赤沢氏に代わって塩崎城に入り、塩崎氏を名乗るようになり、戦国時代初期までこの地を拠点としました。

甲斐武田氏が信濃に侵攻してくると、塩崎氏は小笠原長時に従い抵抗しますが敗北。その後、塩崎氏は村上義清の支配下にあった屋代氏などと共に、真田幸隆の調略に応じ、1553年に武田氏に臣従し、城を明け渡しました。

川中島の戦いでは、塩崎城は重要な拠点として機能しました。1561年の第四次川中島の戦いでは、武田信玄の本陣が当初、茶臼山ではなく塩崎城に置かれたという説も存在します。また、1564年の第五次川中島の戦いでも、武田軍は塩崎城に布陣して上杉軍と対峙しました。近年では、1567年にも第六次川中島の戦いがあったとする新説も出ており、塩崎での対陣は、この戦いの時の出来事が後世に混同されたとする研究者もいます。

川中島の戦い以降の記録は不明確ですが、善光寺平南部における政治・軍事上の拠点は海津城に移されました。武田氏滅亡後は、越後上杉氏の支配下に入ったと推測されています。この城跡には、甲州流築城術の特徴と上杉系の築城痕跡が混在しているとされています。南の平野部に稲荷山城が築かれた1582年頃、遅くとも1598年頃には廃城になったと考えられています。

城郭の特徴

塩崎城は山城であり、自然の地形を巧みに利用した構造であったと考えられます。具体的な構造については、発掘調査や詳細な記録が少ないため、不明な点が多いです。しかし、甲州流の築城術と上杉氏の影響が見られることから、戦国時代の様々な築城技術が取り入れられた複合的な構造であったと推測されています。

周辺の関連情報

塩崎城に関連する場所や人物としては、以下のようなものがあります。

大塔合戦: 1400年に起こった戦い。
中先代の乱（青沼合戦）: 1335年に起こった戦乱。
屋代氏: 千曲川対岸に屋代城を築いた豪族。
塩崎氏: 塩崎城を拠点とした一族。
四宮氏: この地をかつて支配していた一族。
四宮荘、石川荘、小谷荘、保科荘、布制本荘: 周辺の荘園。
桑原宿: 塩崎城の近くにある宿場。
塩崎新城（赤沢城）: 別名赤沢城とも呼ばれる城。
稲荷山城: 塩崎城の南に築かれた城。
稲荷山宿: 稲荷山城近くの宿場。
稲荷山駅: 長野県長野市篠ノ井塩崎にある駅。

参考文献

信濃史学会編 『信州の山城 信濃史学会研究叢書3』 1993年


塩崎城は、その歴史と戦略的な重要性から、戦国時代の信濃における重要な城郭の一つであったと言えるでしょう。

もう一度検索