仁科鳩美

仁科鳩美：1970年代に輝いた女優の生涯

仁科鳩美（にしな はとみ、1952年11月8日 - 1979年）は、1970年代中盤に成人映画を中心に活躍した日本の女優です。そのグラマラスな肢体と大胆な演技で観客を魅了し、「新東宝興業のエース女優」として名を馳せました。また、市川崑監督の『犬神家の一族』（1976年）にも出演するなど、一般映画にも足跡を残しています。本名は荒井裕子。

生い立ちとデビュー

1952年、千葉県館山市で生まれた仁科は、高校卒業後、三越に就職し食品売り場でレジ係を務めていました。しかし、在籍中にスカウトされ、男性誌のヌードモデルに転身。1974年、ワタナベプロダクションが製作した成人映画『オカルトSEX』で映画界にデビューしました。当時21歳という若さでした。

この作品は日活ロマンポルノとして配給され、同年8月3日に公開。その後も『セミドキュメント ㊙夜這い』、『セミドキュメント ㊙パンマ』といった日活ロマンポルノ作品に出演し、同年10月には『熟れた桜貝』で初主演を飾りました。

また、同月に公開された『エロチカにっぽん 牝猫の群れ』には「仁科鳩子」名義で出演。この作品を機に、東元薫監督作品や新東宝興業配給作品に多数出演するようになります。

新東宝興業のエースとして

仁科は、『悪女性艶』や『性市場』、『絶倫の壺』、『初夜絵草紙』、『温泉特出し芸者』など、数多くの成人映画に出演・主演しました。特に東元薫監督作品への出演が多く、久保新二の回想によると、東元は仁科に「ゾッコン」だったといいます。そのため、仁科が主演でも、男性との絡みのシーンはあっさりとした描写にとどめたとも推察されています。

1975年には「新東宝興業のエース女優」と呼ばれるほどの人気を博しました。二階堂卓也は、その「グラマラスな肢体と大胆な脱ぎっぷり」を高く評価しています。

一般映画への出演と引退

1976年には、角川春樹事務所が製作した『犬神家の一族』に出演。「野々宮晴世」役を演じ、一般映画にもその名を知らしめました。しかし、その後は一般映画に出演することなく、新東宝興業配給の成人映画にのみ主演。1977年9月に公開された『ある女教師 夜間授業』を最後に、24歳という若さで引退しました。

早すぎる死

引退から2年後の1979年、仁科は故郷である千葉県館山市で脳溢血のため急逝しました。享年27歳。その早すぎる死は、多くの人々に衝撃を与えました。

フィルモグラフィ

以下は仁科鳩美の主な出演作品です。

1974年

『オカルトSEX』
『エロチカにっぽん 牝猫の群れ』
『団地妻㊙モノくらべ』
『セミドキュメント ㊙夜這い』
『牝獣の体臭』
『悪女性艶』
『尻の神秘』
『熟れた桜貝』
『セミドキュメント ㊙パンマ』
『女子大生 泣れた花粉』
『性市場』

1975年

『絶倫の壺』
『新特ダネ かぶりつき』
『初夜絵草紙』
『鬼神のお松色狂い』
『温泉特出し芸者』
『女教師の個人生活』
『秘録 産婦人科』
『極秘いろ指南』
『発情娘 セックス体験』
『みだれ寝』
『性乱三姉妹』
『㊙課外授業』
『好奇心夫人』
『女子大生 ㊙卒業試験』
『潮ふきの女王』
『有閑夫人 童貞あそび』
『追跡(性)三面記事』
『二十四時間の情事 絶叫』
『人妻情事の昼下り』

1976年

『実録売春三面記事』
『好色マンション 美容師の秘密』
『痴漢連絡船』
『若妻セックス乱行』
『女子学生SEXレポート 実地研究』
『売春 地獄の一丁目』
『欲求夫人』
『犬神家の一族』
『ブロンドセックス・セクレタリー 金髪肉体秘書』
『猟色未亡人』

1977年

『セックスドキュメント 特写!悶絶』
『残酷人肉私刑』
『私は誘拐されました 女体実験室』
『蕾を犯す』
『ある女教師 禁じられた遊び』
『売春午前零時』
『人妻を犯す!』
『ワイド・ドキュメント 犯し魔』
『恐怖!女高生 不良暴行集団』
『情欲責め』
『ある女教師 夜間授業』

参考文献

『日本映画俳優全集・女優編』
『日本女性人名辞典』
『20世紀日本人名事典』
『新撰 芸能人物事典 明治 - 平成』

外部リンク

Hatomi Nishina - IMDb
仁科鳩美 - allcinema
仁科はとみ - 日本映画データベース
仁科鳩美 - 東京国立近代美術館フィルムセンター
仁科鳩美 - 日活映画データベース
20世紀日本人名事典『仁科鳩美』 - コトバンク
新撰 芸能人物事典 明治〜平成『仁科鳩美』 - コトバンク
* 仁科鳩美 - jlogos.com （エア）

仁科鳩美は、その短い生涯の中で、多くの作品に出演し、観客の記憶に残る女優でした。その輝きは、今もなお多くのファンを魅了し続けています。

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