今市大念寺古墳

今市大念寺古墳の概要

今市大念寺古墳は、島根県出雲市今市町鷹の沢に所在する前方後円墳です。この古墳は国の史跡に指定されており、その出土品は出雲市において有形文化財として認定されています。出雲地域ではこの形状の古墳としては最大級のものであり、築造時期は6世紀後半、つまり古墳時代の後期にさかのぼるとされています。

地理的背景

古墳は出雲平野の中心部に位置し、周囲の丘陵地帯を見渡すことができる場所に築かれています。特に大念寺の境内に隣接しており、その名称「今市」はこの地名から取られています。古墳の存在は1826年にこの地域での大念寺境内拡張工事の際に発見され、以降の調査によってその重要性が明らかになりました。

古墳の特徴

今市大念寺古墳の形状は特徴的な前方後円墳で、前方部が東に向かっています。現在は特に北側の墳丘が破壊されている部分もありますが、墳丘の全長は約92メートルに達し、出雲地域においては最大の規模です。築造技術には版築が用いられており、この手法は本来ならもっと後の時代に見られるため、築造当時の技術水準の高さが窺えます。墳丘の外部からは円筒埴輪も発見されているものの、葺石は見つかっていません。

埋葬施設

古墳の内部には両袖式の横穴式石室があり、西南西に開口しています。この石室は複室構造で、全長12.8メートル、玄室・前室・羨道から成り立っています。特に玄室には巨大な横口式家形石棺が据えられており、その大きさは全国で見ても最大級とされています。この石棺には独特な構造があり、蓋に縄掛突起を備えています。また、前室にも小さな家形石棺が置かれていましたが、現在は一部のみが残っています。

出土品

1826年の石室開口時に、多数の副葬品が出土しました。出土品には金銅製の履や金環、大刀、銃身、斧、馬鐸などが含まれており、これらの多くは散逸しています。現存している一部の資料は大念寺に保管されており、出雲市の有形文化財として指定されています。

文化財としての重要性

1924年には国の史跡に指定され、今日においてもその保存が行われています。この古墳の存在は、古墳時代における出雲の地方的権力の一端を示すものとされています。また、古墳が他の古墳群と地理的に近接していることから、権力の継承が行われた可能性も指摘されています。

現地情報

今市大念寺古墳は島根県出雲市今市町鷹の沢に位置し、交通アクセスも良好です。JR山陰本線及び一畑電車を利用して出雲市駅から歩いて約7分の距離にあります。周囲には上塩冶築山古墳や上塩冶地蔵山古墳といった他の国の史跡も点在しており、古墳の文化的意義を感じるには最適な場所です。

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