今日の香港、明日の台湾とは？意味をやさしく解説

「今日の香港、明日の台湾」とは

「今日の香港、明日の台湾」（きょうのほんこんあすのたいわん、繁体字中国語: 今日香港，明日臺灣）は、2014年4月に台湾で起こったひまわり学生運動で掲げられたスローガンの一つです。この言葉は、香港と台湾の運命共同体意識を表すとともに、民主化以前の中華民国においては、香港の比較的自由な社会に対するポジティブな意識を示すものでもありました。

スローガンの背景

このスローガンは、香港の政治・経済状況を背景にしています。中国本土との経済連携強化により香港経済は発展しましたが、中国への依存度も高まりました。海峡両岸サービス貿易協定が台湾にもたらす可能性のある「中国化」、すなわち賃金低下、資産バブル、貧富の差拡大、中国資本の影響力増大、香港と中国本土の対立など、香港が経験した負の側面に対する警戒感が込められています。

香港の元月刊誌編集者である李怡は、この言葉の30年間における意味の変化を指摘し、香港と台湾の状況を比較しました。彼は、台湾の民主主義は経済発展で遅れを取るものの、市民社会は成長し、自己認識を強めていると述べています。これは、香港の市民社会と政府機関が中国共産党の支配下で衰退している現状とは対照的です。

ひまわり運動と香港

ひまわり運動では、香港からの多くのFacebookメッセージが寄せられ、香港のメディアでも大きく報道されました。香港の人々は、この運動を支持し共感しました。香港中文大学学生連合会の会長である張秀賢は、「今日の台湾、明日の香港」というスローガンは、台湾の運動から派生したものであり、台湾の現状が香港への警鐘となりうると指摘しました。彼は、香港が台湾の「ひまわり運動」をモデルに、社会運動を展開できる可能性を示唆しました。

「海峡両岸サービス貿易協定」は、香港人に中国本土・香港経済連携緊密化取決め（CEPA）に対する負の感情を想起させ、香港を台湾の先例にしてしまったと言えます。

メディアの報道

香港のメディアは大公報が、香港の野党が「今日は台湾、明日は香港」と言って立法会を占拠すると脅していると報じました。また、曾志豪は、香港が中国に返還されたことで人権、自由、法治が失われたことを批判し、台湾が香港のようにならないことを願う香港人の心情を代弁しました。

香港の民主化運動と台湾

2014年には、香港で香港佔領立法會事件が発生しました。また、2019年から2020年にかけて香港民主化デモが発生しました。このデモを追い風に蔡英文は支持を拡大しましたが、香港からの亡命者の受け入れには消極的な姿勢を示したため、香港から批判の声も上がっています。

「今日のウクライナ、明日の台湾」

2022年のロシアによるウクライナ侵攻後、「今日のウクライナ、明日の台湾」という言葉もまた、台湾のネット上で広まりました。これは、「今日の香港、明日の台湾」から派生したものです。蔡英文総統は、この論調に対し、米台関係と米宇関係の違いを挙げ、「ウクライナと台湾は違う」と強調しました。

今日の香港、明日の台湾