今週のヒット速報

『今週のヒット速報』（こんしゅうのヒットそくほう）は、1967年4月7日から1971年5月7日まで、主にフジテレビ系列局で放送されたフジテレビ製作の音楽番組です。正式名称は、製作局名を冠した『フジテレビ 今週のヒット速報』でした。毎週金曜日の夜8時から8時56分にかけて放送され、当初はモノクロでしたが、1969年2月28日からはカラー放送に切り替わりました。

番組の特色

この番組は、当時TBS系列で人気を博していた『TBS歌のグランプリ』などと同様に、楽曲のランキングを発表する形式を取り入れた歌謡番組の先駆けの一つとされています。フジテレビが同時期に放送していた他の歌謡番組、例えば『夜のヒットスタジオ』や『歌うロマンスタジオ』とは、それぞれ異なるコンセプトで棲み分けが図られていました。『夜のヒットスタジオ』が歌とトーク、バラエティ色を重視し、『歌うロマンスタジオ』が特定の歌手に焦点を当てるワンマンショーや懐メロを中心に据えたのに対し、『今週のヒット速報』は、文字通りその時点での最新ヒット曲を最も重要な要素として扱い、人気ランキングを中心に番組を構成していました。

歴代司会者

番組開始当初は、当時フリーアナウンサーとして活躍していた人気司会者の高橋圭三氏がメイン司会を務め、松任谷国子氏がアシスタント、そして当時フジテレビアナウンサーだった小林大輔氏がインフォメーションを担当しました。その後、1970年4月からは俳優の二谷英明・白川由美夫妻がメイン司会に、小林大輔氏が進行役に変わりました。さらに同年10月からは、根上淳氏、和泉雅子氏、そして引き続き小林大輔氏のトリオ体制となりました。

音楽担当

番組の生演奏は、宮間利之とニューハードが担当し、指揮は宮間利之氏自身が執りました。彼らの演奏が、番組に流れる最新ヒット曲を彩りました。

ネット局に関する特記事項

放送局ネットワークに関しては、いくつかの興味深い点が見られます。特に広島県では、当時フジテレビ系列と日本テレビ系列のクロスネット局であった広島テレビではなく、NET（現：テレビ朝日）系列の広島ホームテレビで放送されていました。これは、広島テレビが同時期にフジテレビ製作の『銭形平次』（時差ネット）や日本テレビ製作の『三菱ダイヤモンド・アワー』（同時ネット）を放送しており、編成上の都合があったためと考えられます。広島ホームテレビはその後も『歌謡ヒットプラザ』など、フジテレビ製作の歌謡番組シリーズを継続してネットした歴史があります。一方で、フジテレビ系列に属していたとしても、クロスネット編成のため、本番組を放送しなかった局も存在しました。番組開始から間もない時期に開局した地方局の多くが、開局と同時にこの番組のネットを開始したことも特徴の一つです。

ユニークなエピソード

本番組には、特撮ファンにはよく知られたユニークなエピソードがあります。当時同じくフジテレビ系列で放送されていた円谷プロダクション製作の特撮番組『スペクトルマン』に登場するバクラーやバロンザウルスといった怪獣たちが、着ぐるみの姿でこの番組に登場したことがあるのです。また、本番組の司会を務めていた小林大輔氏自身も、『スペクトルマン』（放送当時のタイトルは『宇宙猿人ゴリ』）の第2話に本人役としてゲスト出演するという、珍しい局を超えた（実際は同じ系列内ですが）相互出演がありました。これは、当時のテレビ番組間の牧歌的な交流を示すエピソードと言えるでしょう。

まとめ

『今週のヒット速報』は、1960年代後半から1970年代初頭にかけて、最新ヒット曲を中心に据えたランキング形式の歌謡番組として人気を博しました。歴代の著名な司会者たちの進行のもと、多くの歌手が登場し、当時の音楽シーンを伝えた重要な番組であり、その後の歌謡番組のスタイルにも影響を与えた番組の一つと言えるでしょう。

もう一度検索