三菱ダイヤモンド・アワー

三菱ダイヤモンド・アワー：日本のテレビ史に刻まれた一時代

『三菱ダイヤモンド・アワー』は、1958年8月29日から1972年7月14日まで日本テレビ系列で放送された、三菱電機一社提供のテレビ番組枠です。金曜日のゴールデンタイムを中心に放送され、その歴史は日本のテレビ番組制作、スポンサーシップ、そしてプロレス中継の歴史と深く関わっています。

始まりは隔週交代：プロレスとディズニーランド

当初、『三菱ダイヤモンド・アワー』は、アメリカのバラエティ番組『ディズニーランド』と『日本プロレス中継』を隔週で交互に放送する、珍しい編成でした。この枠組みは、三菱電機が『ディズニーランド』の放送を強く希望したことに端を発しています。日本テレビは当初、『日本プロレス中継』を不定期番組からレギュラー化したいと考えていましたが、三菱電機の意向を受け入れ、この独自の編成を採用することになりました。

1958年9月5日、蔵前国技館から生中継された力道山&ジョニー・バレンド対ドン・レオ・ジョナサン&スカイ・ハイ・リーのタッグマッチが、『日本プロレス中継』の初回放送でした。この番組は、後のプロレス中継黄金時代を築く重要な一歩となりました。

興味深いのは、1961年8月25日以降、『ディズニーランド』が放送される週にも、別枠で『日本プロレス中継』が22時台に放送されるようになったことです。これにより、事実上毎週金曜日にプロレス中継が放送されるようになりました。

カラー放送中断事件

1960年代にはカラー放送が始まりましたが、1962年、フレッド・ブラッシーの試合中に発生した流血事件により、カラー放送が一時中断されました。視聴者の死亡説も囁かれましたが、正確な数は不明です。この事件は、テレビ放送における暴力描写の問題を改めて提起する出来事となりました。

プロレス中継一本化と拡大

1968年2月16日、『ディズニーランド』の金曜枠放送が終了し、『三菱ダイヤモンド・アワー』は『日本プロレス中継』一本化となりました。地方局では民放が1局のみという状況も多かったため、『三菱ダイヤモンド・アワー』枠でプロレス中継が多くの局で放送されました。

この頃、世界選手権級のタイトルマッチなどが放送される際には、三菱電機から花束が贈呈されるのが恒例となり、実況アナウンサーや解説者によって紹介されていました。また、番組内では掃除機の実演など、生コマーシャルも積極的に行われていました。

同年4月7日からは、『ディズニーランド』が日曜19時台に枠移動し、『三菱ダイヤモンド・アワー』は金曜と日曜の両方で放送されるようになりました。しかし1969年10月、『ディズニーランド』が日曜10時台に移動したことで、日曜枠の『三菱ダイヤモンド・アワー』は終了し、再び金曜の『日本プロレス中継』のみとなりました。

番組終了とその後

1972年4月、ジャイアント馬場が出場した試合が他局で放送されたことをきっかけに、日本テレビは『日本プロレス中継』の放送を打ち切りました。その後、『日本プロレス選手権特集』などのつなぎ番組を放送した後、1972年7月14日に『三菱ダイヤモンド・アワー』は終了しました。

この枠はその後、『太陽にほえろ!』などのドラマ枠となり、三菱電機は長らく筆頭スポンサーを務めました。その後、スポンサー枠は移り変わり、現在では三菱電機は日曜20時台の番組でメインスポンサーを務めています。一方、金曜20時台のプロレス中継枠は、他局に引き継がれ、その後も長きに渡り放送が続けられました。

『三菱ダイヤモンド・アワー』は、日本のテレビ番組史、特にプロレス中継の歴史において重要な役割を果たした番組枠でした。その歴史は、スポンサーシップ、番組編成、そして社会情勢の変化を反映した、興味深い事例と言えます。

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