今里 (大阪市)

今里：歴史と文化が交差する大阪の街

はじめに

今里は、大阪府大阪市東成区と生野区にまたがる地域で、Osaka Metro今里駅と近鉄今里駅周辺を指します。古くからの歴史と、近年の交通網の発達によって形成された、独特の文化が息づく街です。本稿では、今里の歴史、地理、交通について、詳細に解説します。

歴史：荘園から発展する街

今里の歴史は古く、平安時代には玉造江と呼ばれた荘園の一部でした。室町時代には新開荘と呼ばれ、その後、太閤検地によって複数の村に分割されました。明治22年（1889年）の町村制施行により、大今里村、東今里村、西今里村はそれぞれ合併し、新たな村を形成します。大正14年（1925年）、大阪市第二次市域拡張によって大阪市に編入され、東成区大今里町、西今里町、東今里町となりました。

昭和2年（1927年）の大阪市電鶴橋線の敷設、昭和9年（1934年）の今里ロータリー設置を機に市街化が進み、昭和13年（1938年）には、大今里北之町、大今里本町、大今里南之町、新今里町の町名も追加されました。昭和18年（1943年）には生野区が新設され、新今里町は生野区に所属するようになりました。昭和45年（1970年）の東成区、昭和48年（1973年）の生野区における現行住居表示実施を経て、現在の今里の町並みが形成されました。

文化：上方落語と浪曲の街

今里は、上方落語や浪曲とも深い関わりがあります。戦中戦後にかけて、多くの落語家たちが今里に居住し、活躍しました。笑福亭松鶴、桂米團治、桂米朝、桂文枝、桂春團治といった著名な落語家たちが今里で修業を重ねたことは、今里の文化的背景を示す重要なエピソードです。また、浪曲師の冨士月子が昭和5年（1930年）に今里に寄席二葉館を建設し、後進の育成に尽力したことも今里の文化に彩りを添えています。かつて大阪の五大遊廓の一つとして栄え、愛染祭の宝恵かごパレードの中心的な役割を担っていた今里の芸妓の存在も、今里の歴史における重要な要素です。

地理と交通：交通の要衝

今里は古くから、玉造から各方面に延びていた街道の中継点として重要な役割を果たしてきました。暗越奈良街道、北八尾街道、十三街道など、東へ向かう街道の分岐点であり、現在も五叉路の今里交差点は交通の要衝となっています。

今里交差点は、今里筋、千日前通、長堀通が交わる五叉路で、かつてはロータリー交差点として「今里ロータリー」と呼ばれていました。昭和29年（1954年）の交通調査で交通の難所とされたため、ロータリーは撤去され、信号機が設置されました。

交通機関としては、Osaka Metro千日前線・今里筋線の今里駅、近鉄奈良線の今里駅があり、大阪シティバスも運行しています。国道308号、大阪府道702号大阪枚岡奈良線、今里筋といった主要道路が通っており、交通の便は良好です。

今里の未来

歴史と文化、そして交通の要衝として発展してきた今里は、これからも大阪の重要な地域として、その役割を担い続けるでしょう。古き良き伝統を受け継ぎながら、現代的な発展を続ける今里の未来に、大きな期待が寄せられます。

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