他国衆

他国衆とは

戦国時代、大名が支配する領国は、必ずしも本拠地だけで構成されていたわけではありません。各地に進出し、勢力を拡大していく過程で、その支配下に入った地域や人々も存在しました。その中で、大名の本拠地である本国以外の地域に領地を認められた家臣を「他国衆」と呼びます。

他国衆は、大名が積極的に国外へ領土を拡大していく中で、征服された土地の在地領主（国衆）が、大名に臣従することで家臣団に組み込まれる形で誕生しました。彼らは、本国に知行地を持つ譜代の家臣とは異なり、それぞれの領地に根を張った存在でした。

他国衆の多様な性格

他国衆と一口に言っても、その性格は様々でした。有力な他国衆は、本国に知行地を持つ譜代家臣に匹敵するほどの勢力を持ち、大名家の中で重要な役割を担いました。一方で、小規模な他国衆は、有力な家臣の同心衆として、その支配下に入っていました。彼らの知行地は、領国拡大の最前線にあたることが多く、常に他国との紛争に巻き込まれる危険性も孕んでいました。そのため、大名家は他国衆の扱いに細心の注意を払っていました。

他国衆が従属するまで

他国衆が大名家に臣従する経緯も様々でした。調略によって積極的に臣従を表明するケースもあれば、合戦で敗北し降伏して臣従するケースもありました。また、旧領の回復を条件に大名家に臣従するケースもありました。いずれの場合も、他国衆は出仕する際に、取次役を通じて知行安堵などの起請文を交わし、人質として妻子などを本国に差し出す必要がありました。

他国衆の呼称

他国衆は、一般的にその地域名を冠して「～衆」と呼ばれることが多いです。例えば、相模国の後北条氏においては、「他国衆」という言葉が用いられていました。また、甲斐国の武田氏では、「先方衆」と呼ばれていました。これは、彼らが領国の最前線に位置することが多かったためだと考えられます。

まとめ

他国衆は、戦国大名が領国を拡大していく上で、欠かすことのできない存在でした。彼らは、大名家の家臣でありながら、独自の領地と影響力を持ち、その地域を代表する存在でもありました。その多様な性格と複雑な立場は、戦国時代の社会構造を理解する上で重要な要素と言えるでしょう。

関連項目

郡代
城代
外様大名
近国衆

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