仙台ホテル

仙台ホテル：杜の都の歴史を彩った名門ホテル

仙台ホテルは、宮城県仙台市青葉区中央、JR仙台駅西口前に位置し、青葉通に面していた由緒あるホテルです。1896年に東北地方初の洋式ホテルとして開業し、2009年末に惜しまれつつ閉館しました。その歴史は、仙台の近代化とともに歩んだと言えるでしょう。

沿革

江戸時代、仙台では奥州街道沿いの国分町や、水産物の取引で賑わった肴町に旅籠が集まっていました。しかし、1887年に日本鉄道が開業し仙台駅が開設されると、駅前が新たな玄関口となり旅館が集まるようになりました。国分町にあった旅籠「大泉屋」も、この流れを受け仙台駅前に支店を開業。1896年には、東北地方初の洋式ホテル「仙台ホテル」を開業しました。

仙台ホテルは、東京の帝国ホテルやホテルオークラに匹敵するサービスと格式を誇り、東北を代表するホテルとして知られていました。

閉館時の土地と建物は、オリックスグループのオリックス不動産が所有しています。2008年には、隣接するGSビルも買収し、一帯の開発が検討されました。ホテル運営会社も建て替えを希望していましたが、2009年12月31日をもって営業を終了しました。

年表

1850年（嘉永3年）：陸奥国仙台藩領の仙台・国分町に旅籠「大泉屋」が創業。
1887年（明治20年）：旅籠「大泉屋」が仙台駅前に支店を開業。2階建ての町屋建築で、1937年まで使用。
1896年（明治29年）：「仙臺ホテル」を仙台駅前に開業。2階建ての和洋折衷建築で、東北地方初の洋式ホテル。
1905年（明治38年）：4階建ての擬洋風建築に建て替え。出羽三山・本道寺の仁王像一対をホテル玄関に安置。
1922年（大正11年）：アルベルト・アインシュタインが宿泊。ノーベル賞受賞直後のアインシュタインを歓迎するため、多くの市民がホテルに集まりました。
1935年（昭和10年）：モダニズム建築に建て替え。
1945年（昭和20年）：仙台空襲で被災。
1954年（昭和29年）：青葉通完成。
1964年（昭和39年）：東京オリンピックに合わせ、9階建ての現在の建物が完成。仁王像は3階ロビーへ移設。
1982年（昭和57年）：東北新幹線開通。
1985年（昭和60年）：ホテルを全面改装。隣接して仙台ホテルアネックスビルを増築。
2005年（平成17年）：ケン・コーポレーションなどが土地・建物を買収。運営がケン・仙台ホテルマネジメントに移行。
2005年（平成17年）: 仁王像一対を口之宮湯殿山神社に寄贈。
2007年（平成19年）：オリックス不動産がアールアンドジェイ仙台を買収。
2009年（平成21年）：年内での営業終了を報道。12月31日に営業終了。
2011年（平成23年）：商業施設「EDEN」がオープン。仙台ホテルの看板を再利用。
2024年（令和6年）：EDENが閉店。

館内施設

閉館時の館内は、以下のようになっていました。

9階: 客室（エグゼクティブフロア）
8階: 客室
7階: 客室（全面禁煙フロア）
6階: 客室
5階: 宴会場（小1室）、飲食店（仏料理など）
4階: 宴会場（小5室）、会議室（1室）、神殿
3階: 宴会場（大1室、中1室）、教会
2階: 宴会場（中1室）、飲食店（2店舗）
1階: フロント、ロビー、飲食店（洋食）、駐車場
地下1階: 飲食店、テイクアウトショップ、テナント

アクセス

JR仙台駅西口より徒歩2分
仙台市地下鉄仙台駅/JRあおば通駅 北1出口より徒歩1分
駐車場：80台（大型バス2台分含む）

仙台ホテルのその後

仙台ホテルは閉館後、その跡地に商業施設「EDEN」が建設されましたが、2024年に閉店しました。現在、オリックス不動産は周辺一帯を含めた再開発を検討しており、仙台駅前の新たなランドマークとなる計画が期待されています。

仙台ホテルは、その長い歴史の中で、仙台の発展を見守ってきた象徴的な存在でした。その名は消えましたが、仙台の歴史と人々の記憶に深く刻まれています。

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