仙台東宝劇場

仙台東宝劇場の歴史と変遷

仙台東宝劇場は、宮城県仙台市にかつて存在した映画館で、その歴史は1922年（大正11年）に「帝国館」として幕を開けました。当初は東三番丁に位置していましたが、その後、読売会館、多聞会館、新興映画劇場と名称を変え、1938年（昭和13年）に東宝の直営館となり、「仙台東宝映画劇場」として新たなスタートを切ります。しかし、1945年（昭和20年）7月10日の仙台空襲により建物は焼失、一時的に閉鎖を余儀なくされます。

戦後の1946年（昭和21年）1月17日、東一番丁の仙台三越5階に「東宝三越劇場」として再オープンを果たしますが、1954年（昭和29年）10月には館名を「仙台東宝劇場」と改め、東五番丁17へと移転しました。その後、1963年（昭和38年）3月には新築された東宝仙台ビルの6階に移転し、新たな時代を迎えます。さらに、1986年（昭和61年）3月には同ビルの8階に「仙台東宝2」がオープンし、2館体制となりました。

2006年（平成18年）2月26日、近隣のシネマコンプレックスの影響や建物の老朽化により、惜しまれながらも84年の歴史に幕を閉じました。最後の作品は、「仙台東宝1」が『ALWAYS 三丁目の夕日』、「仙台東宝2」が『単騎、千里を走る。』でした。

各館の特徴

仙台東宝劇場

定員588席を誇り、洋画の大作や話題作、そしてヒットが期待される邦画を中心に上映していました。東北地区における東宝系の中心的な劇場として、多くの映画ファンに親しまれました。

仙台東宝2

定員70席と小規模ながら、その映写方式が特徴的でした。映写室は客席の左脇に位置し、映写された映像は、映写室内や座席後部のミラーで反射させながらスクリーンに投影されていました。

仙台東宝ビルの誕生

映画館閉館後、跡地には「仙台東宝ビル」が新築されました。このビルには映画館は併設されていませんが、5階から13階にはビジネスホテル「リッチモンドホテルプレミア仙台駅前」がオープンし、宿泊施設としての役割を果たしています。

また、地下1階には飲食店「和食『波奈』仙台店」が、1階から4階には野村證券仙台支店が入居し、多様なテナント構成となっています。

旧東宝仙台ビルは地上8階、地下1階建てで、地下1階には「珈琲院『詩仙』」、1階には高山書店（2002年経営破綻）、4階には野村證券仙台支店があり、東宝2のあった8階には竹中工務店の事務所が入居していました。

アクセス

仙台東宝ビルは、JR仙台駅から徒歩2分、JR仙石線あおば通駅1番出口直結、仙台市地下鉄南北線仙台駅北4番出口直結と、非常にアクセスが良い場所に位置しています。

仙台における東宝系映画館の復活

仙台東宝劇場の閉館後、宮城県内にはしばらく東宝系の映画館が存在しませんでしたが、2016年（平成28年）7月1日、仙台パルコ2の6階にTOHOシネマズ運営のシネコン『TOHOシネマズ仙台』がオープンし、10年ぶりに仙台市内への再進出を果たしました。

仙台東宝劇場は、その歴史を通じて仙台の映画文化に貢献し、多くの人々に愛されてきました。その跡地には新たなビルが建ちましたが、その歴史は今もなお、語り継がれています。

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