仙台空港鉄道仙台空港線

仙台空港線

仙台空港線は、宮城県名取市の名取駅から同市の仙台空港駅までを結ぶ、仙台空港鉄道(SAT)の鉄道路線です。この路線は、仙台空港へのアクセスを向上させる重要な役割を担っており、地域住民の生活にも密接に関わっています。

路線名称

この路線は、いくつかの名称で呼ばれています。

仙台空港線：名取駅 - 仙台空港駅間の正式な路線名です。Google マップでもこの名称で表示されます。
仙台空港アクセス線：仙台駅 - 仙台空港駅間の運行系統上の愛称です。JR東北本線を経由して直通運転が行われ、仙台空港鉄道とJR東日本の列車が共通で運行されています。車内放送でもこの名称が使われます。
仙台空港アクセス鉄道：仙台市都心部と仙台空港を結ぶ鉄道事業の構想段階からの通称で、現在も上記のいずれかの意味で曖昧に使われることがあります。

路線データ

仙台空港線の基本的なデータは以下の通りです。

管轄：仙台空港鉄道(第一種鉄道事業者)
区間・路線距離：名取 - 仙台空港 7.1 km
建設主体：鉄道建設・運輸施設整備支援機構
軌間：1067 mm
駅数：4駅(起終点駅を含む)
複線区間：なし(全線単線)
電化区間：全線(交流50Hz 20,000 V)
閉塞方式：自動閉塞式(特殊)
保安装置：ATS-Ps
最高速度：110 km/h
1日の利用者数：9,174人(2014年度)

この路線は、JR線以外で、当初から交流電化路線として開業した珍しいケースです。全線の9割以上が高架橋やトンネルで立体交差しており、踏切はごくわずかです。SuicaなどのICカードも全線で利用可能です。

沿線概況

名取駅を出発すると、高架橋を上り、増田川の手前で東に進路を変え、東北本線をオーバークロスします。その後、県道に沿って進みながら、杜せきのした駅、美田園駅と続き、増田川と八間堀を越えて海岸方面へ向かいます。仙台空港に近づくにつれて高架から地下トンネルに入り、滑走路の下をくぐり抜けた後、再び高架となり、仙台空港駅に到着します。

運行形態

仙台空港線では、仙台空港駅発名取駅方面の列車が下り、その逆が上りとなっています。全列車が東北本線の仙台駅まで直通運転を行い、1日あたり88本(44往復)の列車が運行しています。快速列車は1往復2本設定されています。全列車がワンマン運転です。

開業以来、仙台駅以北、名取駅以南への直通運転は行われていませんが、仙台駅では、東北本線、仙石東北ラインとの乗り換えが便利になるよう配慮されています。列車の運転業務は、仙台空港鉄道とJR東日本が共同で担当しており、名取駅での乗務員交代はありません。

所要時間（仙台空港駅 - 仙台駅間）

普通列車：24分 - 28分
快速列車：17分(途中、名取駅のみ停車)
運行頻度：2 - 3本/時
編成両数：2両または4両編成(多客時は6両編成)
初電：仙台駅 5時45分、仙台空港駅 5時31分
終電：仙台駅 23時10分、仙台空港駅 23時23分

ダイヤ・所要時間の詳細は公式サイトで確認できます。

ワンマン運転

仙台空港線の運行方式は、JR東日本が決定しており、当初は最大6両編成でのワンマン運転が検討されていました。しかし、安全性を懸念する声が上がり、最終的には仙台空港鉄道、JR東日本、宮城県が協議して決定することになりました。安全対策として、運転台にホーム監視用のモニタを設置し、各駅にも監視カメラが設置されました。開業当初は、混雑時間帯に乗務員が添乗し、駅に警備員を配置して安全性を確保しました。沿線の宅地開発や空港利用者の増加により、増結の検討が行われていますが、車両の新造や改造には費用がかかるため、慎重な検討がされています。

車両

自社車両：SAT721系
乗り入れ車両：JR東日本 E721系500番台

運賃

仙台空港アクセス線の運賃は、仙台空港 - 名取間が仙台空港鉄道、名取 - 仙台間がJR東日本の運賃が適用されます。仙台空港線の各駅とJR東日本の仙台近郊の各駅では、連絡乗車券が販売されています。仙台空港駅の自動精算機はICカードに対応していないため、残額不足の場合は窓口での対応が必要です。なお、当路線はJR線ではないため、青春18きっぷなどのJR企画乗車券は利用できません。開業当初の仙台駅 - 仙台空港駅間の運賃は、自家用車利用者を取り込むため、当初の計画より割安な片道630円に設定されました。

沿革

仙台空港線の構想は、1984年に仙台地方陸上交通審議会が可能性検討の答申をしたことに始まります。その後、空港アクセス鉄道整備検討委員会が設置され、様々な案が検討された結果、JR線分岐案に決定しました。しかし、JR東日本が運営を拒否したため、第三セクターの仙台空港鉄道が設立され、2007年に開業しました。開業当初は、山形県からの出資や仙山線との直通運転も検討されましたが実現には至りませんでした。2011年の東日本大震災では、仙台空港駅やトンネルが津波で甚大な被害を受けましたが、復旧工事を経て全線で運行を再開しました。

駅一覧

名取駅(∨)
杜せきのした駅(◇)
美田園駅(◇)
仙台空港駅(∧)

普通列車は全駅に停車し、快速列車は名取駅のみ停車します。

仙台空港線は、空港へのアクセス手段としてだけでなく、地域住民の生活を支える重要な交通機関として、今後もその役割を果たしていくことが期待されています。

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