仙岩峠

仙岩峠の概要と歴史

仙岩峠（せんがんとうげ）は奥羽山脈に位置する峠で、岩手県岩手郡雫石町と秋田県仙北市を結びます。その標高は895mです。峠を通過する国道46号と田沢湖線（秋田新幹線）は、トンネルを通じてその下を行き来しています。

歴史的背景

江戸時代には、盛岡と秋田の間を結ぶ交通路として国見峠や生保内峠などがありました。これらの峠は秋田街道と呼ばれる主要な道の一部で、この地域の藩境を越える重要な場所でした。特に国見峠は、盛岡藩と久保田藩（秋田藩）の境界にあり、長い間その境界を巡る争いが続きました。最終的に、江戸幕府による裁定で国見峠の位置が定められました。

1868年8月、この地域は戊辰戦争の一部である秋田戦争の舞台となり、盛岡藩が久保田藩を攻撃しました。こうした歴史的事件は、峠の重要性を示しています。

明治時代の改修

明治5年（1872年）、雫石村の上野辨吉により、国見峠の改良が提案されました。数年後、内務省の許可を得て県道としての改修工事が行われ、馬車が通行できるように緩やかな通路が造られました。この新しい道は、「仙岩峠」と名付けられ、1876年に公式に認識されました。

その後も、何度かの改修が行われる中、道路は徐々に発展していきます。しかし、1900年代初頭に鉄道が整備されると、道路の利用は減少し、しばらくの間は「地図上だけの道」となってしまいました。

旧国道の大規模改修

1951年には仙岩峠越えの道が二級国道105号に指定され、1963年には一級国道46号に昇格しました。新たな道の開鑿は明治時代の道とは異なり、ほぼ全区間が新たに建設されました。これは交通の便を向上させる目的によるものでした。ヒヤ潟の峰切を越え、崖を下る新道は多くの人々に利用されています。

近代の問題と仙岩道路

仙岩道路は物流と観光の重要な道路として開通しましたが、特に秋田側では複雑な地形のために問題が多く、崩落や積雪によって通行止めになることが頻繁に起こりました。そのため, 1967年には新しい路線建設に向けた調査が始まり、1976年に仙岩トンネル経由のバイパスが完成しました。

現在の状態

旧道は現在も部分的に利用されていますが、崩壊の影響を受けた区間もあり、通行が難しいところもあります。これに伴って、管理者による最低限の維持作業は行われています。特にヒヤ潟の周辺や、旧国道の一部では崩落によって大規模な損傷が発生しており、通行が不可能になっている箇所も存在します。

仙岩トンネル

現在の仙岩道路に含まれる仙岩トンネルは全長2,544mで、岩手県側は高度570m、秋田側は530mに位置しています。このトンネルは1975年に完成し、近年では点検や補修作業が行われており、安全性が確保されています。

まとめ

以上のように、仙岩峠はただの峠ではなく、歴史的な背景を持つ重要な地点です。また、交通の変遷を示すシンボルでもあります。今後も地域の歴史を物語る存在として、多くの人々に利用されることでしょう。

もう一度検索