仙石久寿

仙石久寿の生涯と出石藩の改革

仙石 久寿（せんごく ひさとし）は、江戸時代後期に活躍した出石藩の大老である。文化12年（1815年）に父が隠居した際、29歳で家督を相続し、大老本席に就任した。その時点で、出石藩は約6万両という巨額の債務を抱えており、財政は非常に厳しい状態だった。

久寿は文政4年（1821年）、藩主の仙石政美に財政改善の提言を行う。彼は勝手方年寄の仙石久恒を解任し、岩田静馬を新たに登用、2年後には自らが大老に就くと同時に勝手方頭取も兼任した。こうした立場を活用して、久寿は財政改革に着手し、特に高禄の家臣に対する厳しい封禄削減を実施した。これによって、家臣の封禄を平均4割削減し、領民に対して御用銀の賦課や生糸の専売制度を導入するなど、急務の改革に取り組むこととなった。

しかし、文政7年（1824年）、藩主の仙石政美が江戸参勤中に急逝する。政美には後継者がいなかったため、隠居していた祖父の久道が後継者選定を行うことになる。久寿は実子の小太郎（当時は新之助という幼名）を連れ出府し、選定会議で久道の末子である仙石久利が新藩主に選ばれ、彼を江戸幕府に養子届けして受理される。このようにして、久利は第7代藩主に就任したのだが、久寿の出府に目をつけた敵対派閥が、今後の彼の行動を「家を乗っ取る意図がある」と不安視したことが原因で、文政8年（1825年）に久寿は大老職を罷免され失脚する結果となった。

その後、久寿の政敵である造酒は藩政の実権を握るも、自身の派閥内での衝突により失脚。久寿は再び藩政を取り戻し、以前の重商主義政策に加え倹約や運上の取立てを強化し、これにより藩士からの強い反発を受けることになる。彼は幕閣に働きかけ、老中首座の松平康任と賄賂を通じて関係を結び、松平の弟の娘を小太郎に迎えることになるが、これもまた敵対勢力による訴えを呼び起こした。

久寿を巡る争いは続き、藩主の父である久道に対して、敵対派の酒匂清兵衛は「久寿は主家を横領している」と訴えるが、久道はこの訴えを却下する。さらに家老の河野瀬兵衛が首謀にされて追放され、藩政は混乱を極める。遂に、河野の訴えを受けた町奉行により久寿は逮捕され、天保6年（1835年）には獄門になる運命に直面する。

久寿の死後、彼の遺族は悲劇的な運命を辿る。久寿の娘は父の罪により家を追い出され、私娼として転落したが、その後に起きた出来事が彼女の運命を変える。ある大坂の糸商人の息子が紛失した200両を返したことで、安政4年（1857年）にその正妻として迎えられるという皮肉な展開が待っていた。

また現在、出石城下には仙石家が使用していた家老屋敷跡が存在し、豊岡市立出石家老屋敷として観光資源として公開されている。

彼の人物像は、非常に頭脳明晰で多才多芸な政治家であったと言われている。守旧派と戦いながら藩政改革に尽力し、財政再建のために経費削減に努め、その影響はさまざまな形で出石藩の歴史に刻まれたのだ。左京は藩校弘道館への予算は削らず、教育者の手当も維持することで、下級家臣への配慮を忘れなかった点でも評価されている。

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