仙石氏

仙石氏の歴史と系譜

仙石氏（せんごくし）は、日本の著名な武家・華族の一つであり、美濃国を起源とする氏族です。この家系の象徴的な人物である仙石秀久は、戦国時代に豊臣秀吉のもとで名を馳せ、領地を広げました。江戸時代には信濃国上田藩を経て但馬国出石藩の藩主となり、維新後は子爵に列せられました。

戦国時代・安土桃山時代の背景

仙石氏の祖先は、後藤氏に属しており、藤原北家から派生した美濃前田氏と関連を持っていました。千石氏とも呼ばれるこの家系は、仙石基秀の代において、甥の久重が家督を継ぐことで新たな展開を見せました。久重は清和源氏の一族との結びつきが強く、以降は土岐氏一門として知られるようになります。

秀久は当初美濃の斎藤氏に仕官していましたが、斎藤氏が織田信長によって滅ぼされると、彼は織田氏に仕官しました。その後は羽柴秀吉の信任を受け、1583年には淡路国の5万石を得て大名としての地位を上げ、わずか数年後の1585年には四国征伐での功績により高松10万石を与えられるほどに成長します。1586年には九州征伐での敗北を経て高野山に追放されましたが、1590年の小田原征伐で再び復帰し、信濃国小諸5万石を領有することとなります。

江戸時代の仙石氏

江戸時代に入ると、1600年の関ヶ原の戦いでは東軍として参加し、大阪の陣を経て小諸藩を立藩しました。仙石氏は徳川氏からの信任を受け、藩主としての地位を確立していきました。秀久の子、忠政も上田藩に転封され、政明の代で但馬国出石藩に移封されました。

しかし、久利の代には藩財政が厳しくなり、家族内の対立から「仙石騒動」と呼ばれる内紛が発生しました。この騒動により、仙石氏は一時的に危機に陥りましたが、取り潰しは免れたものの、家督が相続されて144位から大幅に土地を削減されました。久利は幕府に対抗し、幕末においては勤王の志を抱くようになりました。

明治以降の変遷

明治時代に入ると、久利は戊辰戦争で官軍に属し、その後出石藩知事として華族に列します。明治2年には知事職を引き継ぎ、同年の廃藩置県に伴う政治の変化を経て、華族制度の中で活動を続けました。仙石家は、家禄に対して金禄公債を受け取り、明治17年の華族令施行により子爵に列せられました。

以後、政固、政敬、久英と続く仙石家の当主たちは、政界において重要な役割を果たし、特に政敬は官僚としての経験を積みました。しかし昭和にかけて仙石氏の繁栄は衰え、政恭の代には家系が断絶することとなりました。

歴代当主と系譜

古くから続く仙石家には、多くの著名な当主がいます。例えば、初代の仙石秀久は淡路国洲本城主などを務め、続く忠政や政俊、そして政敬や久英といった後世の当主たちが家系を引き継ぎました。それぞれの当主は、政権の中で重要な役割を果たし、家の繁栄に寄与してきましたが、近代に入ると一族の衰退も避けられませんでした。

仙石氏は、戦国時代から明治期に至るまで、日本の歴史の中で重要な武家・華族として存在していました。その興隆と衰退は、日本の時代の変遷を映す一つの縮図でもあります。

もう一度検索