仙遊寺

仙遊寺の概要

愛媛県今治市玉川町別所にある仙遊寺は、高野山真言宗に所属する重要な寺院です。通称は作礼山（されいざん）、千光院（せんこういん）で、本尊には千手観世音菩薩が祀られています。また、こちらは四国八十八箇所の58番札所という位置づけでもあります。

アクセスと環境

標高312メートルの作礼山の8合目付近に位置する仙遊寺は、昭和中頃に整備された登山車道のおかげで、階段を登らずとも寺まで容易にアクセス可能です。境内からは今治市街や美しい瀬戸内海を一望でき、四季折々の花々が楽しめる環境が整っています。特に桜やツツジ、石楠花、紫陽花、紅葉などがあり、訪れる人々に癒しの空間を提供しています。

また、天然温泉と精進料理を楽しむことができる宿坊も併設しており、訪問者は心身共にリフレッシュできます。特に注目すべき行事は、1月第二日曜日に行われる「厄飛ばし柴燈大護摩」です。さらに、8月には「四万六千日大法会」として夏祭りも開催され、多くの参拝者で賑わいます。住職の小山田氏は霊場の世界遺産化に尽力し、珍しく本尊と大師像が通年公開されています。

歴史的背景

仙遊寺は、天智天皇の勅願によって681年に建立されたとされる歴史ある寺です。伝説によれば、本尊の千手観世音菩薩は海から上がった竜女が一刀三礼して彫ったものであり、これが「作礼山」という山号の由来ともなっています。また、40年間伽藍を整えた僧、阿坊仙人の突然の姿消失が「仙遊寺」という名の由来となっています。

空海（弘法大師）がこの地で修法を行い、病を患う人々を救うため井戸を掘ったとの伝説が語られています。江戸時代には寺院が衰退しましたが、明治時代に宥蓮上人によって再興が図られました。彼は明治4年、即身成仏を果たした最後の人物として尊敬されています。

戦後の1947年には山火事に見舞われ、全山が消失したものの、本尊は無事でした。1953年には本堂が再建され、以降も多くの人々に信仰の拠り所として親しまれています。

境内の特徴

境内にはいくつかの重要な建物や記念碑があります。仁王門をくぐると、本堂があり、ここに安置された千手観世音菩薩を拝むことができます。本堂の立像は平安時代後期に制作されたもので、手の込んだ修復が施されています。

また、大師堂や鐘楼も境内に存在しており、特に新四国八十八ヶ所御砂踏み霊場には特徴的な石仏が寺を取り囲んでいます。さらに、宥蓮上人の供養塔や、竜燈桜の碑など、その土地にまつわる伝説の息吹を感じることができる場所です。

文化財と自然

仙遊寺は、今治市の指定有形文化財として五輪塔を有し、八幡山、犬塚池、作礼山の絶景も楽しむことができます。訪れる際は、自然の美しさを感じながら参道を進むことが大切です。

交通アクセス

鉄道では、JR四国の予讃線が利用でき、今治駅からはバスも出ています。自動車利用者にとっては、一般道路や自動車道が整備されており、便利にアクセスできるでしょう。

仙遊寺は、単に信仰の場であるだけでなく、歴史や自然を感じられる場所として、多くの人々が訪れています。この地を訪れ、心の平安を求める旅をしてみてはいかがでしょうか。

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