代宗 (唐)

唐の第11代皇帝、代宗

代宗（727年 - 779年）は、唐朝の第11代皇帝であり、粛宗の長男として生まれました。諱は俶、後に豫と改めました。彼の生涯は、唐朝が安史の乱という未曽有の危機を経験し、そこから再建を図る激動の時代と重なります。

波乱に満ちた前半生

代宗の生母である呉氏は、有力貴族の出身でしたが、謀反の疑いをかけられ一族が誅滅されるという悲劇に見舞われました。しかし、代宗自身は祖父である玄宗にその資質を認められ、広平王に封じられました。父の粛宗が皇帝に即位すると、代宗は兵馬大元帥に任じられ、安史の乱の鎮圧に大きく貢献しました。郭子儀らと共に、安慶緒に占拠されていた長安や洛陽を奪還するなどの戦功を挙げました。しかし、この時、援軍として招き入れた回紇族が、後に唐の外患となる要因を作ってしまったのも事実です。また、安史の乱の残党勢力討伐のために、各地の節度使の協力を求めたことが、結果的に節度使の権力を増大させることにも繋がりました。

皇帝即位と朝廷内の権力闘争

758年、代宗は粛宗の皇后である張氏と宦官の李輔国によって皇太子に立てられ、762年に玄宗と粛宗が相次いで崩御すると、皇帝として即位しました。しかし、即位当初から朝廷の実権は宦官の李輔国が握っており、代宗は自ら国政を掌握しようと試みました。そこで、宦官の程元振を抜擢し、謀反の罪で李輔国を誅殺しましたが、その結果、程元振が権力を握るという皮肉な結果となりました。その後、程元振が重用した宦官である魚朝恩も同様で、宦官の専横が続くことになります。このような内廷での粛清は、宦官の権力増大を招き、後の唐王朝に大きな影響を与えることになりました。

外交の失敗と財政再建

763年には、吐蕃の侵攻により長安が一時的に占領されるという事件が発生しました。この事件は、宦官が軍権を握り、武将の功績を正当に評価しないなど、武官を冷遇したため、辺境防備が弱体化したことが原因でした。代宗は、財政再建のため、塩の専売化をはじめとする様々な政策を実行しましたが、抜本的な財政健全化には至りませんでした。

晩年とその後

代宗は779年、54歳で崩御しました。その治世は、安史の乱後の混乱期であり、内憂外患に苦しめられた時代でした。彼は、その時代の中で、自らの権力確立、財政再建、外敵からの防衛など、多くの課題に直面し、それらに向き合いました。しかし、彼が行った政策の多くは、結果として宦官の権力増大を招き、その後の唐の衰退の遠因となったとも言えるでしょう。

宗室

代宗には、多くの后妃と子がいました。
郡王妃：崔妃
次男：昭靖太子（鄭王） 李邈
側室：沈氏（贈睿真皇后）
長男：李适（徳宗） - 第12代皇帝
側室：独孤貴妃（贈貞懿皇后）
七男：韓王 李迥
五女：華陽公主
側室：崔貴妃
皇女：昇平公主（斉国昭懿公主）
側室：宇文妃
側室：昭儀 張紅紅
側室：才人 薛瓊瓊
生母不詳の子女
三男：均王 李遐
四男：睦王 李述
五男：丹王 李逾
六男：恩王 李連
八男：簡王 李遘
九男：益王 李迺
十男：隋王 李迅
十一男：荊王 李選
十二男：蜀王 李遡
十三男：忻王 李造
十四男：韶王 李暹
十五男：嘉王 李運
十六男：端王 李遇
十七男：循王 李遹
十八男：恭王 李通
十九男：原王 李逵
二十男：雅王 李逸
六女：玉虚公主
皇女：霊仙公主
皇女：真定公主
皇女：永清公主
皇女：玉清公主
皇女：嘉豊公主
皇女：長林公主
皇女：太和公主
皇女：嘉誠公主
皇女：普寧公主
皇女：晋陽公主
皇女：義清公主
皇女：寿昌公主
皇女：新都公主
皇女：西平公主
皇女：章寧公主
皇女：楽安公主
皇女：永楽公主

登場作品

代宗を題材にした映像作品として、「麗王別姫 〜花散る永遠の愛〜」（2017年、中国）が知られています。この作品では、アレン・レンが代宗を演じています。

代宗の生涯は、唐朝の激動期を象徴するものであり、その複雑な人間模様は、歴史に興味を持つ人々にとって、非常に魅力的なテーマとなっています。

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